住宅リフォーム「価格だけで選べない」時代の到来――進む“シンナー不足”と業界の新たな課題 (2/3ページ)
芳野氏によると、気温や湿度など施工環境に応じて塗料を適切な状態に調整するためにも欠かせないという。
「シンナーは単なる溶剤ではなく、塗料本来の性能を引き出す役割を担っています」と説明。
塗装工事は完成直後の見た目だけでは品質を判断しづらい。塗料の密着性や耐久性などは、施工後数年を経て差が現れる場合もある。
そのため、資材不足を理由に代替材料を安易に使用したり、コスト削減を優先したりすると、本来想定されている性能が十分発揮されない可能性があるという。もっとも、すべての代替品が品質低下につながるわけではない。重要なのは材料特性を理解したうえで採用を判断し、施工品質を検証する体制にあるようだ。

価格競争から品質競争へ――変わる消費者意識
外壁塗装市場ではかつて、価格が業者選定の大きな判断材料になりやすかった。
しかし近年は、インターネットやSNSの普及により、消費者自身が塗料の種類や施工方法について情報収集できる環境が整っている。
芳野氏は「価格だけでなく、なぜその金額になるのか、どの材料を使用するのかを説明できる会社が求められるようになっている」と話す。実際、同社には「材料不足で品質が落ちることはないのか」「今後さらに値上がりするのか」といった相談が増えているという。
住宅塗装は100万円を超えるケースもあり、住宅所有者にとって大きな投資である。だからこそ施工内容や使用材料の透明性を求める声が高まっている。
一方で、消費者が施工品質を事前に見極めることは依然として容易ではない。価格や保証内容だけでなく、施工管理体制や説明責任まで含めて評価する視点が必要になっている。