AIとロボティクスの融合がもたらす創薬プロセスの「最前線」 新薬開発における自動化と人間の役割 (2/3ページ)
AIの予測結果をリアルタイムに連携してロボットが合成や初期評価を実施し、得られたデータをAIへフィードバックして「Design–Make–Test–Learn(DMTL)」サイクルを高速で反復する。構造解析技術も組み合わせ、精度向上を図っているという。同社の試算データによれば、低分子創薬において従来4~5年要した期間を12~18か月へ短縮でき、合成・評価を行う化合物数を約10分の1まで削減できるという。初期コストを最大約60%、定型実験業務を70%以上削減し、高付加価値な研究に集中できる環境の整備が進められている。
ただし、これらの削減効果は特定の低分子創薬における試算値であり、新規モダリティへの一律な適用については実証データの蓄積を待つ必要がある。
同社のプラットフォームは、製薬企業や大学との共同研究を通じて検証が進められている。同社の説明によれば、特にHit探索からLead化合物選定において期間短縮や意思決定の高度化が見られるとして評価を得ているという。
大学との共同研究では、創薬初期にAIによるスクリーニングを実施し、Hit-to-Leadプロセスを短縮した。研究者からは「選定精度が向上し、仮説検証に多くの時間を充てられるようになった」と評価されている。
製薬企業との共同開発では、人員の制約で多数の条件を検証できない課題に対し、AIの逆合成解析と自動化を組み合わせ、最適化期間を短縮したという。研究者は実験作業から離れて分子設計などに注力できるようになり、現場からは「AIは研究者に代わる存在ではなく、クオリティとスピードを高めるパートナーである」との声が寄せられていると劉代表は話す。
AIと自動化の進展により定型業務の自動化は進むが、劉代表は「研究テーマの設定や仮説構築などの中核的な意思決定は、依然として研究者の専門知識と創造性に支えられている」と指摘する。