「受診者が最大3倍に」150円の自己負担でも断る人が皆無だった理由 ――がん検診の「心理的ハードル」を下げる環境整備 (3/3ページ)
同氏は今後、生命保険会社のノベルティグッズなどとしての活用を促進し、さらなる認知拡大を目指したいとの考えを示している。
一方で、一部の医療機関における受診者数の増加や好意的な反響は局所的な成功事例にとどまる可能性もあり、口コミや民間企業のプロモーションに依存するだけでは、全国的な受診率の底上げに持続的な効果をもたらすかについては不確実性が残されている。
「啓発だけでは届かない壁」をどう超えるか――環境整備と多角化が問う構造論点古川氏は、従来の「受診の重要性を伝える」という啓発活動だけでは受診率向上に限界があるとし、今後は「受診しやすい環境を作る」ことへの転換が必要であるとの認識を示す。
同氏の分析によれば、受診率低迷の背景には、羞恥心などの心理的ハードルに加え、時間を確保できないという時間的ハードル、初期症状の少なさによる情報不足、費用や機会損失に伴う経済的ハードル、さらには医療機関側の女性医師不足やプライバシー配慮の遅れといった複数の構造的要因が絡み合っている。
これらに対し同社は、自治体との連携(受診券への案内同封や無償配布)、企業の健康経営(福利厚生や女性活躍推進の一環としての導入)、メディアを通じた啓発、そして医療機関の受診体験そのものを変えること(女性スタッフの配置やプライバシー配慮の徹底、羞恥心軽減パンツの導入)など、5つの施策を掲げて取り組んでいる。同社は自社の製品を、単なる検査衣ではなく、女性の健康課題解決やフェムテック、SDGs(すべての人に健康と福祉を)に寄与する社会課題解決型の製品と位置づける。
同社が掲げる「女性検査用パンツ」の普及や多角的なアプローチが、日本国内の構造的な検診受診率低迷をどこまで変えられるか、今後の医療機関および自治体との連携の進捗次第でその具体的な輪郭が見えてくることになりそうだ。
【取材協力】
日本シーエイチシー株式会社
代表取締役社長 古川裕祥
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