『国宝』公開から1年…今こそ考えてみる「歌舞伎座」の価値とは?雰囲気を纏った歌舞伎の殿堂 (3/5ページ)
その後、戦時中の空襲によって再度焼失したものの、戦後再建された第四次歌舞伎座でも桃山様式風は残り、戦後から今日までの歌舞伎の隆盛の拠点になっています。文字通りの名称を冠した、歌舞伎の「殿堂」といってもいい存在です。
変わっても「変えなかった」ものしかし2013年の第五期改修案で現れたのは、歴史的な建造物に急に高層ビルが突き出てきたような印象を感じさせる高層ビルでした。現在の「KABUKIZA TOWER」です。建て替え案を見て、なんだか複雑な気持ちになったのは私だけではなかったかもしれません。
第四次歌舞伎座は約60年、歌舞伎の中心地であり、「顔」でした。しかし老朽化は著しく、所有元である松竹は再建に踏み切りました。この際に、歌舞伎座を複合施設として建て替える案が浮上し、「KABUKIZA TOWER」の建設も決まりました。
その一方で、長く歌舞伎座の「顔」であり続けた桃山様式風の外観も無くなるのではないかという懸念もありました。一時はビルの壁で劇場を覆う案も出ていましたが、歌舞伎俳優たちから出た「歌舞伎座の雰囲気が変わってしまう」と言う声を受けて、現在の五代目の歌舞伎座に、桃山様式風の外観は残りました。
歌舞伎座だけが持っている特別な独特な「雰囲気」。それを俳優たちは大切にしていたのでしょう。舞台に立つ人間たちが、この舞台に立っているという矜持を感じさせるものが歌舞伎座にはあるのでしょう。