建築設計はなぜ複雑化しているのか 構造・設備・人材不足から考える業界の課題 (1/3ページ)
耐震性や省エネ性能、設備の高度化など、建築物に求められる要件は年々増えている。設計事務所には意匠だけでなく、構造や設備、法規制への対応まで含めた総合的な調整力が求められるようになった。
一方で、専門技術者の確保や人材育成、複雑化するプロジェクトの管理など、設計業界が抱える課題も少なくない。こうした変化に設計事務所はどう対応しているのか。株式会社エナ・デザインコンサルタント代表の石川賢一氏に、現代の建築設計を取り巻く課題について聞いた。
建築設計では、意匠、構造、設備など複数の専門領域が関わる。建物が大型化・複雑化するほど、それぞれの設計情報を正確に共有し、調整する必要性も高まる。
エナ・デザインコンサルタントでは、構造設計と設備設計を社内で扱う体制をとっているという。石川氏によれば、両分野を同じ組織内で調整することで、設計段階での情報共有を進めやすくする狙いがある。特に構造や設備を専門とする技術者は限られており、業界では人材確保も課題となっている。設計業務を複数の専門会社へ分ける場合には、それぞれの設計内容をすり合わせる工程も必要になる。
一方、業務を一体化すればすべての問題が解決するわけではない。高度化する建築技術や法規制に対応しながら、各分野の専門性を維持するためには、人材やノウハウを継続的に確保する必要がある。
複雑化する建築プロジェクトをどう管理するか設計事務所の仕事は、図面を作るだけではない。建築主の要望を整理し、構造や設備、コスト、工期など複数の条件を調整しながら計画をまとめる役割も担う。同社では構造・設備設計や監理に加え、コンサルティング業務にも取り組んでいるという。
建築プロジェクトでは、設計途中で条件が変更されたり、新たな技術要件への対応が必要になったりすることもある。そのたびに関連する設計内容を見直し、関係者間で情報を共有する必要がある。こうした状況では、個々の技術者の経験だけに頼らず、組織として情報を管理する仕組みが重要になる。