ツルだけじゃない!狼と猟師の友情物語、神奈川に残る伝承「オオカミの恩返し」を解説 (2/7ページ)
なるほど、これは骨が刺さっているだな。源作はようやく事情を理解しました。
鳥の骨は飛ぶために軽くできているから砕けやすいのですが、タテやナナメに裂けて尖りやすいため、遠慮なしに呑み込むと喉に刺さってしまいます。
とかくオオカミや犬という連中は、何でもバリバリ食らいつくものだから、こいつも噛み砕いた鳥の骨を喉に刺さらせてしまったのでしょう。
仕方ねぇな、可哀想だから一つ骨を抜いてやろう。そう思い立った源作は、度胸一番オオカミに近づいていきます。
「よしよし、痛かったろうに。今から骨を抜いてやるから、食いつくでねぇぞ。飛びつくでねぇぞ」
などと優しく声をかけながら、しかしいざとなったらオオカミを見伏せる身構えをしながら、源作はオオカミの目の前にやってきました。
不思議なもので、言葉は通じなくても害意がないと判るのか、オオカミは大人しくしています。
そして源作は、大きく開けられたオオカミの口に腕を突っ込み、喉奥に刺さっていた骨を抜いてやったのです。
「さぁどうじゃ。これで少しは楽になったじゃろうか」
オオカミは涙を流して嬉しそうに、去りがたい様子を見せながら、何度も振り返りつつ山の中へと消えていきました。
供えられた山ウサギ
そんなことがあって、翌日の明け方。源作のおかみさんが雪隠(用足し)のため、戸を開けて一方外に踏み出します。