日本的経営は「最強」なのか―流行の制度改革に待った東京理科大学・高橋伸夫教授が語る「やり過ごし」と、組織を強くする失敗の活かし方 (2/5ページ)
さらに、経営者が失敗を「授業料」として認め、社員にその経験を生かすよう促すことが、挑戦できる組織文化につながる事例も紹介。経営者がどのように失敗と向き合うかが、社員の挑戦行動にも大きく影響します。
■制度の成否を決めるのは「制度」ではなく「運用する人」
人事制度や業務システムを導入すれば、組織が自動的に変わるわけではありません。高橋氏は「どんな制度も運用次第」と語り、同じ制度やシステムでも、それを使う人の姿勢や行動によって結果は大きく変わると説明します。
稟議やワークフローの事例を通じて、制度やシステムの背後にある「人」の存在に着目。制度改革を考える際には、仕組みそのものだけでなく、実際に運用する人がどのように判断し、行動するのかまで考える必要があります。
これは人事制度にもDXにも共通する視点です。「新しい制度を入れれば変わる」という発想ではなく、制度を使う人、現場で運用する人、そして経営者が何を目的としているのかを明確にすることが、改革の成否を左右します。
■DXは「導入」が目的ではない――経営者が示すべきは「何のために使うのか」
DX推進においても、「DXをやること」自体を目的にしてはいけません。高橋氏は、明確な目的がないまま専門部署を立ち上げ、「DXをやれ」と指示するだけでは、本質的な変革にはつながらないと指摘します。
一方で、現場の課題を起点としてデータを蓄積し、それを顧客への提案や新たなサービスにつなげている企業の事例を紹介。そこでは「DX」という言葉を意識しなくても、経営者の明確な意思と現場の運用によってデジタル活用が進んでいます。
DX、人事制度、データ活用――いずれも重要なのは、流行のキーワードを導入することではなく、「自社にとって何のためなのか」を明確にし、現場で使いこなすことです。
■「日本的経営は最強」――流行ではなく、自社が積み重ねてきたものを見直す
高橋氏は、日本企業が長い歴史の中で培ってきた仕組みや経営のあり方には、大きな価値があると評価します。だからこそ、「新しいから」「他社がやっているから」という理由だけで制度を変えることには警鐘を鳴らしています。
もちろん、本当に問題がある仕組みは変える必要があります。