日本的経営は「最強」なのか―流行の制度改革に待った東京理科大学・高橋伸夫教授が語る「やり過ごし」と、組織を強くする失敗の活かし方 (1/5ページ)
デフィデ株式会社(東京都港区赤坂2-4-6、代表取締役:山本 哲也)は、経営・組織・人事分野の第一線で活躍する研究者・専門家に聞くインタビューシリーズ「JOB Scopeマガジン」において、東京理科大学経営学部 教授・高橋伸夫氏へのインタビュー記事を公開しました。高橋氏は、経営学全般、とりわけ組織論を専門とし、日本企業の組織や意思決定、成果主義、人事制度などを長年研究してきた経営学者です。日本企業の現場を捉える独自の概念を生み出し、データに基づいて組織の実態を検証する研究を続けています。今回のインタビューでは、「やり過ごし」という言葉が生まれた背景から、失敗を個人の責任だけで終わらせず組織学習につなげる考え方、制度は「運用する人」によって結果が変わるという視点、目的を欠いたDX推進への警鐘、そして流行に左右されず日本企業が培ってきた仕組みを見直す重要性まで、幅広くお話を伺いました。
■「やり過ごし」に見る、日本企業の組織と意思決定
高橋氏の研究を象徴するキーワードの一つが「やり過ごし」です。問題をすぐに解決せずに時間の経過に任せることで、問題そのものが消えてしまう現象を表す言葉として研究され、現在では一般にも使われるようになりました。
その背景には、組織の意思決定が必ずしも合理的に行われるとは限らないという、高橋氏の長年の研究があります。カタカナの経営用語をそのまま受け入れるのではなく、日本企業の現場で実際に起きている現象を、日本語で正確に捉えることの重要性も語られています。
「流行している理論」を導入することよりも、自社の現場で何が起きているのかを観察し、データによって確かめる。その研究姿勢は、経営者が自社の組織を見つめ直すうえでも重要な示唆となります。
■失敗を責める組織から、失敗を学習に変える組織へ
企業で失敗が起きた際、「誰が悪かったのか」という個人責任の追及だけで終わってしまうと、同じ問題が繰り返される可能性があります。
高橋氏は、失敗したときこそ「なぜそうなったのか」「組織や仕組みに構造的な問題がなかったか」を考え、改善につなげることが重要だと指摘します。失敗そのものが問題なのではなく、そこから学べるかどうかが重要なのです。