復元ではなく"推定"で補う。高精度DSPで設計したiPhone向け高音質音楽プレイヤー「Aurescale」をApp Storeでリリース (2/5ページ)

バリュープレス


高音質のために重視した4つの設計方針

1. 足す帯域は「推定」だと明示し、常に原音と比較できるようにする
補完処理を既定にしつつ、切り替えと明示を徹底しました。高域補完の推定量、倍音の種類(整数倍音/非整数倍音)はスライダーで調整でき、加算はカットオフ周波数より上の帯域に限定されます。もとから全帯域が残っているロスレス音源では、補完を自動的にオフにします。

2. 演算精度と時間精度で妥協しない
音声処理はFloat64(倍精度)で行います。サンプルレート変換にはKaiser窓ポリフェーズsincフィルタ(基準128タップ・256位相、ダウンサンプル時はレート比に応じてタップ数を増加)を採用し、再生機器の実際の出力レートに追従します。高域の解析と生成は1024点STFT・hop 256(48kHzで窓約21ms、更新約5.3ms)で行い、過渡音への追従性を確保しました。エンコーダのカットオフ周波数は、信頼できるフレームだけを対象に直近約4秒の統計から推定し、静かなパートやフェードで揺れないようにしています。コーデック(MP3/AAC/ロスレス)ごとにしきい値プロファイルを切り替えます。

3. リアルタイム処理の安定性を構造で担保する
デコード、DSPワーカー、リングバッファ、リアルタイム出力の4系統を分離し、出力コールバックではロック・メモリ確保・I/O・重い処理を一切行いません。バッファ受け渡しはC11 atomicによるロックフリー実装です。端末が高温になった場合は補完と解析を自動でバイパスし、SRCのタップ数を落として再生を途切れさせない設計にしました。

4. 聴いている音と、残す音を同じにする
WAV/AIFF書き出しは、再生と同じ処理チェーンをオフラインで通します。再生中に調整したEQと高域補完の設定が、そのまま書き出しに反映されます。リアルタイム制約がないため、書き出し時は常にフル品質で処理します。整数出力ではTPDFディザを適用し、ピーク保護は再生時と同じ条件で動作します。

主な機能
対応形式:MP3、AAC(m4a)、ALAC、FLAC、WAV、AIFF。
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