超危険なギャンブル?『逃げ若』や『風、薫る』にも登場した「すごろく」が中世日本を熱狂させた理由 (2/5ページ)
そしてここで思い出されるのが白河法皇です。
『平家物語』巻第一「願立」には、白河院が意のままにならないものとして「賀茂河の水、双六の賽、山法師」という天下三不如意を取り上げています。
洪水を起こす賀茂川、強訴を行う比叡山の山法師、そしてサイコロの目。
絶大な権勢を誇った人物でさえ、「運」だけは操れないというわけです。
平安時代においても、双六は人気があった。図は朱雀門の鬼と双六を打つ紀長谷雄(『長谷雄草紙』)。
まさにギャンブル!『逃げ上手の若君』の双六勝負は、中世らしい?双六の賭博性は中世になっても消えませんでした。
『逃げ上手の若君』では、京へ入った北条時行たちが少女・魅摩と双六で勝負する展開が描かれました。
もちろん、魅摩や勝負の具体的な展開は漫画としての創作です。
しかし「中世の人々が賽を振り、賭けを伴う双六に熱中する」という背景そのものは、時代から大きく外れてはいません。
中世には、特定の目が出やすいよう細工されたものと考えられる「似非賽(えせさい)」まで史料に登場します。
『七十一番職人歌合』にこうした賽が見え、中世に双六などの賭け事が盛んだったことが指摘されています。
したがって『逃げ上手の若君』の双六を、現代の「人生ゲーム」のようなものだと考えると少し違います。