「痛くなってから行く」では遅い? 予防歯科が問うこれからの歯科医院の役割 (3/4ページ)
ただし、説明に時間をかければ、それだけで患者の行動が変わるわけではない。内容を理解していても、日々の歯みがきや定期的な通院を続けることは別の問題だ。医療側ができるのは、判断材料を提供し、患者自身が選択できる環境を整えるところまででもある。
予防は歯科医院だけでは完結しない
むし歯や歯周病を防ぐためには、歯科医院でのケアだけでなく、日々のセルフケアも欠かせない。
北上しらゆりデンタルクリニックでは、患者の口腔内の状態に応じて、歯ブラシなどの清掃用具の選び方や使い方についても説明しているという。プロによる定期的なケアと、自宅で毎日行うセルフケア。その二つを組み合わせて口腔内の状態を維持していく考え方だ。
もっとも、毎日のセルフケアを長期間続けることは簡単ではない。
最初は丁寧に磨いていても、時間が経てば元の習慣に戻ることもある。その意味では、歯科医院には治療だけでなく、「なぜこのケアが必要なのか」を繰り返し伝える役割もある。
患者自身が口の状態を理解し、自分で管理できるようになるまでどのように支えるか。予防歯科では、治療技術とは別のコミュニケーションも求められる。
歯科医院は「治す場所」から変わるのかむし歯を削り、詰める。歯周病を治療する。そうした役割が歯科医院からなくなるわけではない。
一方で、治療を繰り返すだけではなく、そもそも治療が必要な状態をできるだけつくらないという考え方も広がっている。
境氏が目指す「学べる歯科医院」も、その延長線上にある。
患者が自分の口の中で何が起きているのかを知り、必要な治療や予防について歯科医師や歯科衛生士と一緒に考える。そうした関係をつくることが、同院の考える予防歯科だという。