「痛くなってから行く」では遅い? 予防歯科が問うこれからの歯科医院の役割 (1/4ページ)
歯が痛くなった、詰め物が取れた。そうした症状が出てから歯科医院へ行く人は少なくない。
一方、むし歯や歯周病のなかには、自覚症状が乏しいまま進行するものもある。症状が出た時点では、すでに治療が必要な状態になっているケースもある。近年は、悪くなってから治療するだけでなく、定期的に口腔内の状態を確認し、むし歯や歯周病を予防する考え方も広がってきた。
岩手県の北上しらゆりデンタルクリニックでは、「学べる歯科医院」という考え方を掲げ、患者自身が口の状態を理解したうえで予防や治療を選べる診療を目指している。これからの歯科医院には何が求められるのか。院長の境英二氏に話を聞いた。
「80歳で20本」の達成者は増えている日本では長年、「80歳になっても自分の歯を20本以上保つ」ことを目標とする8020運動が進められてきた。厚生労働省の2024年歯科疾患実態調査では、80歳で20本以上の歯を持つ人の割合は61.5%と推計されている。
以前と比べれば、自分の歯を残している高齢者は確実に増えている。
ただ、それで予防の必要性が薄れたわけではない。歯を失う主な原因であるむし歯や歯周病への対策は今も重要で、とくに歯周病は初期には痛みなどの自覚症状が乏しいまま進行することがある。
境氏は、症状が出てから受診するだけでなく、症状がない段階から口の状態を確認することが大切だと話す。
「歯医者は痛くなったときに行く場所」から、「悪くならないために行く場所」へ。予防歯科の考え方を広げるには、こうした受診行動そのものを変えていく必要がある。
もちろん、定期的に通うことは簡単ではない。仕事や育児などで忙しい世代にとって、症状がない状態で時間をつくり、歯科医院へ行くことには一定の負担がある。予防の重要性を伝えるだけでなく、継続して受診しやすい環境をどうつくるかも、歯科医院側の課題になる。