縄文時代の怪奇な呪術世界――「頭部のない人骨」と壊された土偶が語る“生贄”の謎 (2/4ページ)
その内のひとつから、「頭部のない火葬人骨」が発見されました。人骨は成年または熟年の女性のもので、頭部を切り落とされてから土坑内で火葬された可能性があるとされています。
またここから、人骨と同様に「頭部のない土偶」も見つかりました。一般的に土偶は壊された状態で土に埋められることから、発見時に頭部が欠けていること自体は珍しくはありません。ですがこの土偶は明らかに最初から頭部がなく、豊かな乳房と下腹部に膨らみを持つ、妊娠した女性を表現したものでした。
土偶は、頭部のない人骨が葬られた時から遡ること500年ほど前に作られていました。こうした現象から、当初は人間の代わりに土偶を使って行われていた呪術が、やがて人間そのものへ行われるようになったのではないかと考えられます。
世界の民俗学と照らし合わせ、一種の生贄のような意味があったという見方もされています。
頭部に穴のある人骨と土偶そのほかにも、秋田県内では奇妙な人骨と土偶が出土しています。縄文時代晩期の貝塚から8体の人骨が見つかり、そのなかに頭蓋骨を石斧のような鈍器で叩いて穴を開け、ベンガラ(赤色顔料)が塗られているものがありました。
さらにこの遺跡から5㎞離れた同時期の遺跡からは、頭をもぎ取られて土坑の中に埋葬された土偶が見つかりました。この土偶の後頭部には、制作時に開けられた星形の穴があり、埋葬時には胴体は仰向けに、頭は後頭部の穴が分かるように反転して置き直されていました。
人骨の頭部に開けられた穴は、「魂が出入りする通用口」だという考えがあります。