「きれいな花ですね」イケズ京都人が言った言葉の裏は!?

デイリーニュースオンライン

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 かの有名な「ぶぶづけ伝説」をはじめ、今や全国区となった京都人の”イケズ”体質。外国人からは「なにを考えているかわからない」と言われることの多い日本人だが、その標準的な日本人をして「言葉の裏が分からない。そもそも裏があることに気づくことすらできない」のが生粋の京都人トークだ。

「郷に入れば郷に従え」と頭ではわかっていても、この高度な会話術を読み解くのは並大抵のことではなく、よそから来た人間は、何年経ってもマスターすることができない。北陸の雪深い政令指定都市から京都に来て23年の筆者が、高度な”イケズ”のほんの一部をご紹介しよう。

「きれいな百合ですね」の意味は「匂いのキツい花を置くなんて非常識やわぁ」

 花瓶に活けられた百合の花の匂いがきつかった場合、

「きれいだけど、ちょっと香りが強いかも」

「ごめーん、私、花粉症で。すぐに鼻がむずむずしちゃうから、ちょっと花瓶を移動してもらっていいかな?」

 など、やんわりと、あるいはストレートに要求を伝えるのが一般人。

 一方、京都人はこのように言う。

「わー、きれいなお花! すっごくいい香り!」

 京都人以外の人間が聞いたら、まさかそれが「匂いきついねん」という嫌味だとはわからないだろう。しかし、こんな言い方で苦言を呈すのが京都人。そして、すぐにその真意に気づき「すんまへん! 匂いきつかった? 堪忍え」と反応できるのが生粋の京都人だ。

「行けたら行くわ~」は断りの決まり文句。本当は「行く気ゼロ」

 気のすすまない誘いを受けた時に、適当な言い訳をして行けないと伝えるのがスマートな大人。しかし、京都人はにっこり微笑みながら、「行けたら行くわ~!」と気のあるような返事をして、スケジュール帳をちらりと見ることもしない。

「来てもうてもかましまへんけど、おかまいできまへんえ」の意味は「来るな!」

 NO以外の言葉でやんわり断るも、ピュワな東京人に伝わらない事案が多々発生している。

 ある花街のお茶屋取材に筆者が出かけたときのこと。東京の出版社の編集者がアポを入れた際、お茶屋のおかあさんがやんわりと断ったのに気付けず、アポが入ったと勘違い。後日、約束の時間に店を訪ねるも無人で、呼び鈴にも応答がなかった。その場で電話をし、店先にいることを伝えると、

「うちはお茶屋どすし、取材とか来てもうてもそんなん(かなんわ)……」

 おそらくアポの段階で「来てもうてもかましまへんけど、おかまいできまへんえ」ぐらいのことを言われたのでは……。現場の木っ端ライターには真相はわからずじまいだが。

集合時間ぴったりに行くも、すでに作業は終了

 とにかく暇な年寄りが多い京都の街。何かというと誰得な会合、行事、慣習の数々……。若い世代には無意味に思え、憤りを感じながらも、何を言われるかわからない恐怖から、みな大人しく年長者に従っているのが実情だ。

 しかしながら、町内の清掃に時間ぴったりに出向いたところ「もう終わったえ~(=何のんびり定時に来とんねん。何様やねん。年寄りに仕事させてからに)」と言われ、すでに解散後だったのは、さすがに想定外だった。無論、翌年から集合時間の30分前に出向くようになったことは言うまでもない。

(おまけ)「ネットの記事!?絶対には・な・し・ま・せ・ん!」

 日ごろから町内会に苦しめられている由緒ある町内に住む友人に、「前に聞いたあれ、詳細もう一度教えて欲しいんやけど?」と確認しようとした。すると……。

「なにに使うん? え? ネットの記事? どこからどう漏れるか分からんし、絶対には・な・し・ま・せ・ん」

 そして、代わりにこんな棒読みコメントをもらった。

「町内の人は、みんないい人で、かわいがってもろてます。いろんな行事も京都らしくて、みんなで頑張って取り組んでいます♡」

……(震)。

川留ピヨ子(かわどめぴよこ)
大学進学を機に上京。卒業後は出版業の末席をうろうろしつつ、五山の送り火を「大文字焼き」と言われると「違う、そうじゃない!」と否定したくなるぐらいの、ほどほどの京都市民に成長。
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