香港民主化デモ、特需発生で地元業者が嬉しい悲鳴

デイリーニュースオンライン

hk_demo1007 (3).JPG

陸客「警察がデモ隊を前に立ち尽くしているのは痛快」

 行政長官の辞任を求め、学生を中心としたデモ隊が香港の主要エリアを占拠して10日以上が経過した。参加者の数はピーク時と比べ減少したものの、随一の繁華街・セントラルや旺角では、依然として交通網が麻痺状態のままだ。

 デモの長期化により、経済への影響も危惧されている。しかし、大荒れが予想されていた週明けの香港市場は、火曜日までの2日間、ハンセン指数は続伸する結果となった。香港在住の日系物流会社社員も「物流への影響は今までのところまったく出ていない。デモ会場周辺の交通は、回り道が強いられて不便だが、経済活動がストップするほどではなかった」と話す。

 デモが中国の旅行シーズンである国慶節の連休期間中に行われたことから、旅行業界も大打撃が予想されていた。香港のデモ発生を受け、中国政府は香港への団体旅行者への査証の発給を停止すると発表。「治安上の問題」としているが、「中国に民主化の機運が飛び火しないよう警戒しての措置だ」(中国人旅行者のネット上での書き込み)との声もある。

 しかし、旅行業界全体で見れば”無傷”だったようだ。香港紙『アップルデイリー』によると、10月1~4日までの連休期間中、中国からの旅行者は前年比で1.55%増となっていたという。デモの現場では、中国大陸から来たと見られる観光客がバリケードや座り込みを続けるデモ隊をバックに、ピース姿で記念撮影する姿が多数、見受けられた。

hk_demo1007 (2).JPG

 広州市から来たという中国人の男性は、「中国ではこんなデモはありえないから見に来た。警察がデモ隊を前に立ち尽くしているのは痛快だ」と語った。

 今回のデモでは、「香港が”新たな観光資源”を得た」との皮肉めいた声も聞かれる。複数の宿泊予約サイトを確認したところ、香港の各ホテルは国慶節の連休期間中、通常期の2~3倍という例年通りの特別料金に設定されており、宿泊業界への影響も限定的だったと見える。筆者が10月4日から3日間宿泊したセントラルのビジネスホテルも連日満室で、中国系の旅行者が門前払いされているところを目にした。

マクドナルドやドラッグストアもデモに嬉しい悲鳴

 デモ特需の恩恵を受けていたと思われる業種はほかにもある。

 デモ会場の至る所には、「物資站」と呼ばれる配給所が設けられていた。そこには、有志によって寄贈されたというミネラルウォーターや清涼飲料水、スナック、さらに警察による催涙スプレーに備えるためのゴーグルやサージカルマスクが大量に用意され、デモ参加者らに無料配布されていた。

 一方、デモの現場からほど近いドラッグストア「マニングス」では、サージカルマスクが品切れとなっていた。スタッフによれば、数時間前にデモ関係者と思われる一人の客が箱買いしていったのだという。

 また、セントラルにある24時間営業のマクドナルドにも、深夜、空腹を満たそうと集まるデモ参加者らによる長い列ができていた。

 今後、デモが収束していくのは時間の問題と見られるが、いっそのこと毎年の”恒例イベント”にしてしまえばどうか。

(取材・文・写真/奥窪優木)

「香港民主化デモ、特需発生で地元業者が嬉しい悲鳴」のページです。デイリーニュースオンラインは、民主化デモ香港中国海外などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧