酒蔵「南部美人」で奮闘する、米国からやってきた現代版「マッサン」 (2/3ページ)

Jタウンネット


酒造り研修生のベンさん(画像提供:南部美人) 山田錦も栽培されているホットスプリングス

研修生ベン・ベルさんの故郷であるアーカンソー州は、米国南部にある。あまりなじみがないなと思うかもしれないが、実は日本人にとって重要な人物である、あの連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサーの出身地だ。またホットスプリングス市は、第42代大統領のビル・クリントンの故郷でもある。

同市は米国有数の温泉リゾート地として知られており、温泉が取り持つ縁で花巻市と姉妹都市となった。両市は小・中・高校生の交換留学をはじめ、市民レベルでの交流を深めているという。今回の研修も、ホットスプリングス市からの希望を受けた花巻市が、岩手県内の酒蔵を打診して実現したとのこと。

ホットスプリングスでは酒造好適米として知られる「山田錦」が栽培されており、高品質な日本酒造りに意欲的な土地だという。

日本酒の未来を語る五代目蔵元

一方、研修を受け入れた南部美人の五代目蔵元・久慈浩介氏は、1997年から日本酒の米国市場を育ててきた開拓者の一人だ。日本食の人気が広がるにつれ、日本酒のファンも驚くほど増えてきたという。大吟醸をはじめとしたハイクオリティな日本酒は、リッチな人々を中心に理解され、強い支持を得てきたようだ。

だが久慈氏はこう言う。

「日本から輸出する高品質な日本酒は、高収入な人々が飲む高価な飲み物となってしまっている。幅広くミドルクラスの人にも気軽に飲んでもらいたい。そう考えると、米国で造るしかない」

米国内で小規模な醸造会社が品質の良い日本酒を造るようになれば、ミドルクラスの人にも日本酒の良さが理解されるようになるだろう。米国で日本酒が広く飲まれるようになれば、日本の酒造業界にとっても何もマイナスになる点はない。研修を受け入れた理由は、まさにここにある。

「日本酒の未来を考えたら、今が大きなターニングポイントだと思います」と、久慈氏は力説する。

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