このままでは、日本の動物園から「ゾウ」が消える

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安佐動物公園の象(Spiegelさん撮影、Flickrより)
安佐動物公園の象(Spiegelさん撮影、Flickrより)

[Jステーション-広島HOMEテレビ]2014年11月13日放送の、今日の特集のコーナーで、安佐動物公園を取り上げていました。

子供たちに大人気のゾウ。もし、動物園で見られなくなったとしたら?

安佐動物公園の南心司副園長は、「ゾウはこれから50年先には、多分国内の動物園でいなくなるだろう」といいます。

安佐動物公園の象(Spiegelさん撮影、Flickrより)

2014年3月、福山市立動物園で、2頭のアムールヒョウが誕生しました。絶滅危惧種の新たな誕生に、関係者は喜びを見せました。

この2頭の赤ちゃんの母親ピンは、安佐動物公園から福山市立動物園に嫁入りしたヒョウです。

安佐動物公園にも、他の動物園から来た動物が多くいます。例えば、マンドリルのオス、トヨタロウは愛知県豊橋市から、メスのランマンは京都市からやってきました。

こうした背景には、野生生物を取り巻く、ある変化があるからです。いろいろな動物が、ワシントン条約に規制される環境になっており、動物園といえども、簡単に輸入ができなくなってきています。

安佐動物公園のキリン(telepathicparanoiaさん撮影、Flickrより)

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絶滅危惧種の商業的な輸出入を制限するワシントン条約。その保護対象が年々増え続け、現在では、3万種類以上に及んでいます。そのため、多くの動物は国内で増やすしかない現状なのです。

国内の、ゾウを取り巻く状況はとても深刻です。ゾウは、現在国内に39頭いますが、オスは8頭と少なく、これまでの繁殖成功例も過去7件のみで、順調とは言い難いのです。

安佐動物公園では、普段は別々のケージに入るオスとメスを、一晩中一緒にしておく、「夜間同居」を初めて挑戦するなど、繁殖に力を入れていますが、まだ成功例はありません。

開園から43年、安佐動物公園の次の戦略とは?

今動物園は、動物を見せる以外に、増やすという大きな課題を抱えています。そんな状況で、安佐動物公園は海外の動物園と、初めて協定を交わしました。

安佐動物公園のサイ(Spiegelさん撮影、Flickrより)

ハワイのホノルル動物園とは、これまでに、クロサイのオス同士を交換するなど交流がありましたが、さらに動物の交換などで、関係を深めていこうというのです。

ホノルル動物園を通じて、アメリカ国内の動物園と、動物交換ができるかもしれないというところまで視野を広げているようです。

今回の協定で、まずお互いの園の強みを交換します。園の一角で、長年調査研究されてきた、オオサンショウウオがホノルルに送られます。

世界最大の両生類として、海外で人気が高く、安佐動物公園はオオサンショウウオの研究の草分け的存在で、ホノルル動物園からすると、その技術を学べるという、メリットがあります。

一方、鳥類研究が進む、ホノルル動物園からは、絶滅危惧種のスミレコンゴウインコがやってきます。安佐動物公園にはオスしかいないため、今回ホノルルから、メスを譲り受けるのです。

「国内の動物園では、スミレコンゴウインコの繁殖は、まだ成功していないので、是非頑張りたいです」と、飼育係の水野美紀さんは言います。

新たな動物が入ることは、繁殖以外にも意味があります。人気の動物は、すぐに入園者アップにつながるからです。

安佐動物公園の入園者は、年間約40万人から50万人で、これまで最も多かったのは、27年前、中国からレッサーパンダが来た年で、2番目に多いのは、ツキノワグマのクラウドの棒回しで注目を集めた2008年でした。

開園から43年、設備は老朽化が目立ち、園路の傾斜が急すぎて、車いすが登れない場所があるなど、問題があります。そのため広島市は、園全体の魅力アップを目指して、開園以来初の、全面リニューアルを検討しています。

現在の課題の一つは、古い展示状況です。動物と入園者を溝で仕切る方法は、臨場感が伝わりにくいとの指摘もあり、全国の人気動物園を参考に検討が進んでいます。

大阪市の天王寺動物園では、肉食動物と草食動物が互いに見えるなど、できるだけ自然界の緊張感を再現しようとする展示が好評です。また、動物の躍動感ある展示で人気を集めた、北海道の旭山動物園の工夫も、取り入れたいとしています。

現在、県外から訪れる人は、全体の一割にとどまりますが、今後は、遠くからでも来たいと思われる動物園を目指します。

ただ、リニューアル計画は、来年度以降設計が始まる予定で、総工費や、完了時期などは、決まっていない状況です。そのため、当面は飼育係による動物解説の頻度を増やす等、ソフト面での工夫にとどまるとのことです。

海外との連携、リニューアルでの魅力づくり、開園43年の安佐動物公園は、今後少しづつ変化していきます。(ライター:haruhana)

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