安倍政権の目玉政策「女性の活用」崩壊の危機

デイリーニュースオンライン

安倍晋三公式サイトより
安倍晋三公式サイトより

 アベノミクスと並び、第2次安倍政権の目玉政策は“女性が輝く社会”の実現と言われてきた。2014年9月3日に発足した第二次安倍改造内閣では、女性の活躍を印象付けるかのように5人もの女性閣僚が起用された。しかし、蓋を開けてみれば小渕優子経済産業大臣が政治資金規正法違反で、松島みどり法務大臣はうちわ問題でそれぞれ辞任に追い込まれている。

 安倍政権が掲げる女性の活躍推進は発足直後から崩れかけたわけだが、安倍政権の進める女性の活躍推進は発足前からその兆候を見せていた。

実現しなかった菊池桃子の入閣

 その兆候とは、女優として活躍する菊池桃子さんの入閣を巡る報道だ。菊池さんは法政大学大学院で修士号を取得し、戸板女子短期大学で客員教授を務めるなど、芸能人の枠を超えた文化人としての素養も持ち合わせている。また、厚労省が設立したNPOの理事にも名を連ねている。第二次安倍改造内閣では、菊池さんが入閣するのでは? との情報が駆け巡った。

 菊池大臣が誕生すればともなれば、従来からの永田町や霞が関の形式にとらわれない斬新な政策が期待できる。そのうえ話題性も抜群。アベノミクスがうまく進んでいない安倍政権にとって支持率上昇の起爆剤として考えていたことは間違いない。しかし、菊池大臣誕生は実現しなかった。

 スタート前から綻びを見せていた女性活躍推進は、小渕・松島両大臣の辞任で加速。さらに、ほかの女性大臣の資質にも疑問符が付けられている。なかでも、重要閣僚である高市早苗総務大臣のそれを指摘する声は多い。ある民主党関係者はこう話す。

「高市さんは議員になってからも、ずっと汗をかいてきた人物ですごい苦労人です。それは、自民党外の人間でも知っている有名な話です。夜遅くまで議員の仕事をしていますが、ママ業もきちんとこなしていて、同じ女性としては応援していますが、高市さんが総務大臣というのは、正直ピンときません」

 総務大臣としての高市議員の適性を疑問視する声は、野党からばかりではない。自民党関係者からも聞かれる。

「高市さんは初出馬の頃から、憲法改正を掲げていました。第二次安倍政権で政調会長に就任したので、ようやく憲法改正に着手すると思っていました。しかし、改造人事で総務大臣になってしまい、憲法改正作業から遠ざかってしまった。そもそも高市さんが総務大臣というのは、これまでの活動を見ても適任だとは思えません。安倍総理は女性の活躍を印象づけるために、適性など関係なく、とにかく高市さんを大臣にしたのでしょう。彼女は政調会長というポジションでこそ輝くと思います。結局、安倍総理は女性の活用をしているのではなく、自分の人気を上げるために女性を利用しているだけなんですよね」

 これらの発言からもわかるように、安倍政権は女性の活躍を奨励しているのではない。単に閣僚に据えてお飾りにしているに過ぎないのだ。要するに、形だけを繕った、見かけ倒しなのである。

 これまでの政権でも、保育所の拡充や男女雇用機会均等法といった環境整備は進められてきた。それらが不十分であることは否定しないが、安倍政権のような美辞麗句ばかり掲げて中身が伴わないのであれば意味がない。

 それらの欺瞞性を見抜いたり、気づいた人は少なくない。作家・村上春樹氏はインターネット上で「余計なお世話」と一蹴したし、作家・中村うさぎ氏も「女を舐めている」と批判している。

 先の国会で成立見通しだった女性活躍推進法案は、大義名分のない解散で廃案に追い込まれた。そんなところからも、安倍総理が女性の活躍推進に熱心ではないことが窺える。

 今国会で女性活躍推進法案は再審議されるが、大山鳴動して鼠一匹とならないことを願うばかりだ。

(文/小川裕夫)

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