「出生率」道内1位・えりも町。その理由はあまりに「当たり前のこと」だった

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襟裳岬(A_CUVEさん撮影、Flickrより)
襟裳岬(A_CUVEさん撮影、Flickrより)

[どさんこワイド - 札幌テレビ]2015年1月29日放送の「北海道のあした」では、出生率全道一位を誇るマチのそのワケについてが取り上げられました。

人口の減少が北海道でも大きな課題となるなか、子供を持つ若い母親が多くいるので子育てがしやすい。そんな声が聴かれるマチが北海道にあります。

襟裳岬(A_CUVEさん撮影、Flickrより)

風速10メートル以上の風の吹く日が年間290日以上もあるという「風のマチえりも町」です。えりも町の出生率は1.90で道内でNo.1を誇ります。ちなみに札幌は1.08です。

えりも町の若い母親に話を聞くと、えりもでは2人以上の子どもを産んで育てることは当たり前という雰囲気があるといいます。

えりも町の出生率はなぜ高いのか? 役場は「特に出生率を上げるための対策をとっているわけではないが、地元の産業の安定が出生率の高さにつながっている」とみています。

えりも町の地元の産業といえば漁業。町内の保育所で子どもたちに「お父さんが船に乗っている人は?」と質問すると、手を挙げた子は全体の7~8割、つまり、多くの家庭が漁業で生計を立てています。

町内の昆布漁師のお宅を訪ねると、出荷する昆布の選定作業に追われていました。そこには作業を手伝う高校一年生の孫の姿も。彼はすでに漁師を継ぐことを決めています。もちろんおじいちゃんだけでなく父親も漁師です。

父が漁から戻り、彼は魚を網から外す作業場へ呼ばれました。ここでも彼は面倒くさがらずに黙々と作業を手伝います。家庭そのものが働く場、家族が協力し合う姿がありました。このように何世代にも渡って漁業を継ぐ家も珍しくはありません。

えりも町を訪ねて分かった『出生率全道1位の理由』は3つです。1つ目は「若い世代が働く場所がある」こと。2つ目は「20代で結婚する若者が多い」こと。3つ目は「3世代同居で祖父母が孫の面倒を見られる」こと。

基幹産業、漁業の安定がえりも町の出生率を下支えしていたのです。

地域ぐるみの取り組みが大きな豊かさを生んだ

えりもの出生率が高いのは、漁業の安定がもとになっていることはわかりました。しかし、漁業が破綻すればマチが崩壊する危険も否定できません。事実、えりも町はかつて大規模な人口流出の危機にさらされたことがあったからです。

えりも岬の北側の国有地はかつて過剰な伐採と強風のために、はげ山となってしまいました。人呼んで「えりも砂漠」です。そんな荒れ地に緑を取り戻すために、1953年国が緑化事業をスタート。地元の住人達も作業に加わり、緑の大地を目指しました。

緑化を進めることで、森林が生い茂る土の栄養分が海にまで十分に行き届くため、魚たちが集まり昆布も育ちます。実際に緑が広がるにつれて魚介類の水揚げ高は右肩上がりに伸び続け、2003年には50年前のおよそ50倍の水揚げ高を記録しました。

地元の漁協は、漁業の安定こそが後継者を残すための一番の対策だと話します。

世代を超えて受け継がれていく漁業。丘の恵みが海の恵みへとつながっていく緑化事業。地域ぐるみの取り組みが子どもたちを産み育てていく環境も豊かにしていました。

産業が安定しているからこそ子供も多いし、若者も残る――「当たり前のこと」ですけれど、その背景には地元の努力があることを実感しました。(ライター:北海道saki)

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