大仏の首を切り落とした住職 (2/3ページ)
21世紀の世の中で新しく大仏が必要になる理由ってそんなに思いつかないでしょう?
―確かに、建て替えならともかく、新しく造る理由はわかりませんね。
クロスケ:そうなんですよ。しかも、それがお寺にあるならまだわかるんですけど、町中とか変な場所にある。これはなんでだろう?と思ったらいてもたってもいられなくなってしまったんです。
それで、“日本二周旅行”が終わった後、自営業になったのですが、自営業は時間が作れるので、嫁さんと一緒にあちこちの大仏を回りはじめたら本格的にハマってしまった、というのが始まりです。
―本書を開くと、単に「大仏」とひとくくりにできないほど、大きさも姿勢も色も様々な大仏が掲載されていて、驚かされました。
クロスケ:本当に色々ですよね。本の中にも書いたんですけど、「仏像」が「歴史」だとしたら、「大仏」は「地理」なんですよ。
どういうことかというと、たとえば法隆寺の「百済観音」は、1000年以上前に作られたものですから、どうしても歴史的な視点で見てしまいますよね。
でも、大仏の場合は秩父に行くと「秩父太平洋セメント」があるせいかコンクリートでできた大仏がいくつもありますし、愛知県の東海市には「新日鉄住金」の製鉄所があるから錆びた鉄風の大仏がたくさんあります。また、富山県の新湊市は三協アルミというアルミ製造の会社があって、総アルミ造りの弁財天があったりする。要は地場産業との関係が強いんです。そういう意味で、大仏を見ると「地理」がわかるんです。
ただ、「林業」だけは別で、林業が盛んな土地に木造の大仏があるかといったら、あまりなかったりします。大仏を造る工場に行ってお話を聞いたことがあるのですが、斬った木材を使って像にするまで、乾燥させたり、製材したりで35年くらいかかるそうです。
―なるほど。
クロスケ:「木」という素材でいうと、富山に高岡大仏っていう、夜になるとライトアップされる有名な大仏があるのですが、今の大仏は三代目なんです。初代と二代目は木造だったせいで、火事で全部燃えてしまったんですよ。
高岡って、さっきの地場産業でいうと銅器や青銅器の製造が盛んなんです。