チュニジアだけじゃない! テロ危険スポットと化した海外旅行先は?

デイリーニュースオンライン

Photo by Bryan Dorrough via filkr
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「チュニジアのルーブル」といわれる観光名所は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化した。

 北アフリカ・チュニジアの首都チュニスのバルドー博物館で日本時間の3月18日、日本人6人を含む外国人観光客らが死傷した事件。白昼の惨劇はテロの恐怖を浮き彫りにした。

「動く者すべてを撃っていた」
「血と遺体しか見えなかった」

 現場に居合わせた人々は恐怖の瞬間をこう証言した。現地メディアによると、戦闘服を着た武装集団は博物館前に止まったバスに向かって無差別に発砲し、バスから降りる観光客の多くが蜂の巣になったという。

ISILに追従の宣誓をする過激派グループ

 チュニジアの治安当局は、実行犯についてイスラム過激派「チュニジアのアンサール・アル・シャリーア」の犯行と断定。2010~12年までにアラブ諸国で相次いだ「アラブの春」と呼ばれる民主化運動の後に台頭した組織だ。「イスラム国家」樹立を掲げ、在チュニジア米国大使館襲撃事件などのテロ事件への関与が指摘されている。

「『アンサール・アル・シャリーア』は、イエメン南部で設立された。その後、チュニジアやリビアにも広がり、その国ごとに独自の組織を形成した。シリアで活動する『ベンガジのアンサール・アル・シャリーア』は、エジプト人コプト教徒に対する虐殺を行うなど、蛮行を繰り返している。彼らはイスラム教スンニ派過激組織『ISIL』に対してバイア(追従の宣誓)を行っており、チュニジアの組織にもISILとの関係が疑われている」(中東情勢に詳しい専門家)

 今回の事件で気になるのは、イスラムテロがそれほど警戒されていない地域で起きたというものだ。

ISILとの過激派アピール合戦が勃発中

 実際、外務省は、海外渡航情報について、最も危険度の低いことを示す「十分注意」という表現に留めていた。

 しかし、環境はここ最近で激変したようだ。

「現在、その凶暴性で急速に存在感を増しているISILと、活動歴の長いアルカイダ系組織との間で〝アピール合戦〟のような状況が生まれてきている。『どっちがより残虐か、どっちがより過激か』を競い合い、イスラム過激派の中での覇を競い合っている状況だ」(先の専門家)

 外交筋によると、現在、イスラム過激派の二大勢力は、ISILと、イエメンを拠点とする「アラビア半島のアルカーイダ(AQAP)」。

 後者は、米軍特殊部隊に暗殺されたアルカイダの指導者、ウサーマ・ビン・ラーディンの後を継いだザワヒリの影響が指摘されている。

 この2つの組織は、国外の過激派に感化されてテロを起こす「ホームグロウンテロ」を盛んに呼びかけており、危険は世界各地に広がっている。

「欧米の大都市はどこも危ない。特にイタリア、スペイン、ギリシャなど地中海沿岸の欧州の各都市にはテロリストが流入している可能性が高い。テロの芽は東南アジアにも広がっている。国内で活動するイスラム過激派『ジェマ・イスラミア』が大量の戦闘員をISILに送り込んでいるインドネシア。さらにはマレーシアやフィリピンにもイスラム過激派のシンパが多く、警戒は解けない」(全国紙外信部デスク)

 世界のどこにいても、もはや平和な日常は望むべくもない。

(取材・文/浅間三蔵)

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