大阪桐蔭「裏金5億円」の闇…広告塔に使われた野球部

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輝かしい栄光の裏で10年以上にわたる不正があった
輝かしい栄光の裏で10年以上にわたる不正があった

 大阪桐蔭中学校・高等学校の裏金問題が世間を騒がせている。3月25日に同校を運営する大阪産業大学が記者会見を開き、第三者委員会の調査結果を発表すると各メディアは大きく報道。トップニュース扱いのところもあったほどだ。

 それほどまでにニュースバリューが高い理由は、裏金が「5億円超」と巨額だったこともあるが、むしろ高校野球の強豪として全国的に知られる学校のスキャンダルという側面のほうが大きいように思える。

開校時に50台だった偏差値が現在は69

 折しも記者会見の翌日、大阪桐蔭高校野球部は春の選抜高校野球大会2回戦で青森の八戸学院光星を破り、ベスト8進出を決めた。

 大阪桐蔭高校は1983年、大阪産業大学高等学校大東校舎として開校し、1988年に現校名となった。ちなみに1971年の夏の甲子園で初出場・初優勝を飾った桐蔭学園(神奈川県)の系列校と誤解されることも多いようだが、直接的な関係はない。また、中学校は1995年に設立されている。

 野球部の創設は1988年。1991年、春の選抜で甲子園デビューを飾ると、同年夏の大会では初出場で全国の頂点に立った。創部4年目での優勝は現在に至るまで史上最速記録である。以降、優勝は2014年までに春1回、夏4回の計5回。いまや全国最強といっても過言ではないだろう。OBには今中慎二、西岡剛、中田翔、藤浪晋太郎といった一流プロ野球選手が名を連ねる。

 一方で、大阪桐蔭高校は学力の向上も目覚ましかった。開校して間もなくの偏差値は50を少し超える程度だったが、現在、難関国公立・難関私立大を目指すⅠ類は69と、有力進学校になっている。なお、国公立・難関私立を目指すⅡ類は63、スポーツ・芸術で活躍するⅢ類は41だ。

往年のPL学園野球部も“広告塔”の象徴

 偏差値アップの原動力となったのは、腕のいい教師の招聘、外部講師の起用、成績優秀な生徒の獲得、そして部活動を使った知名度の向上である。

 わけても野球部の役割は大きい。甲子園に出場するとNHKをはじめとする多様なメディアによって、全国にその名を知らしめることができる。勝ち進めば報道される機会は増え、広告効果は計り知れない。

 甲子園常連校の野球部は自ずと“広告塔”になる。大正時代に立教されたパーフェクトリバティー教団が全国的に知られるようになったのは、80年代に春夏合わせて7回の優勝を成し遂げたPL学園の活躍があったからだ。

一時代を築いたPL学園野球部だが、今年は部員の募集を停止し、廃部は決定的となっている。上級生から下級生への暴力の常態化や女子マネージャーに対する暴行など、不祥事が頻発した部そのものにも問題はあるが、廃部の背景には教団の内紛があるという。教団が野球部を道具にしているとのそしりは免れないだろう。

裏金証拠記録の残るパソコンを破壊

 野球部を広告塔にして学業成績優秀な生徒を集め、偏差値を高める大阪桐蔭のビジネスモデルはうまく機能しているかに見えた。しかし、その陰では10年以上にわたり、生徒や保護者を裏切る不正が行われていたというのが今回の裏金問題だ。

 いまのところ、教材費などの名目で保護者から徴収した5億円を超える裏金は、前校長が着服したほか、優秀な生徒の確保を目的とした塾関係者の接待などにも使われたとされている。前校長側は証拠となる記録が残っていたパソコンを破壊しているが、それほど闇は深い。

 一学校の内部で起きた横領事件と見過ごしてはならない。大阪桐蔭には税金から私学補助金が支給されているのだ。大阪府は今年度約6億6000万円の予定だった補助金を、約5億2800万円に減額することを決めた。過去に2例しかない20%減という最大の減額幅ではあるが、実態解明に努め、相応の処分が必要だろう。当然のことながら刑事責任の追及も求められる。

 学校の裏で起きていることは知らずに白球を追い、輝かしい実績を残してきた大阪桐蔭高校野球部。今回の事件はその栄光の歴史に泥を塗ったに等しい。

(文/永井孝彦)

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