日本随一の「おもてなし」の伝道者が語る、心を通わせ合うことの大切さ【藤岡弘、INTERVIEW】 (2/5ページ)

タブロイド

日本人って、人を労わったり想いやったり、相手に感謝したりといったことをとても大切にしてるし、もてなしの文化を大事にしてきた民族でもありますよね。それと、自然に対しても畏敬の念が強いのも特長です。「八百万の神」って言葉がある通り、大自然すべてに神が宿っていると考える民族ですから、自然と対話して、問答して、神とともに喜んできたし、日本の芸術ってすべて神とともに楽しむためにあるんです。能にしても歌舞伎にしても雅楽にしてもそうだし、お祭りなんかもそう。神への感謝をもって一晩中みんなで喜んで五穀豊穣を祈るというかね。

祈るという行為の中には、相手を想い、自然に感謝し、万物に感謝して、生かされし我が命に感謝するという無言の問答があるわけなんですね。茶道においてお茶を点てるのもそういう儀式なんです。長い歴史の中で、日本人はそういった心を育んできた民族ですし、そういうことに対して日本人のDNAは抵抗がないと思うんですよ。

日本人は、古来より万物に感謝する心を持ってきた

日本には、武道、茶道、華道、弓道と「道」のつくものが五万とありますよね。仏道だってそうです。そのすべての「道」において、日本人は「気」の交換をおこなっているわけです。「心眼」という言葉の通り、目にみえないことを「心の目」で見ることを大切にしてきました。

だから、相手への想いを持ってお茶を点て、珈琲を点てることは日本人にとって当たり前。私はそういう風に捉えているから、思いやりを持って珈琲を点てて相手をもてなします。形から入るのではなく、心から「ありがとう」と言いながら、珈琲に「おいしくなってください」と言い、自然に感謝して語りかけていく。日本民族はすべてにおいて、歴史的にもそうやって生きてきました。森の神、木の神、山の神、海の神...万物に宿った神にお伺いをたてながら、自然と対話して、命をいただいてきたんです。

そういう気持ちで珈琲を点てると、相手は「日本人の心」をいただくことができますよね。人の心をいただくということは、出された珈琲がいつも以上においしく感じられるということですし、その場が和むということ。緊張が解けて、安心していただけるということです。

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