第三十三回 投資と国策。売りのサイン (1/3ページ)

タブロイド

第三十三回 投資と国策。売りのサイン

先月末(2015年4月)、日本の安倍首相が米国を訪問し、議会で演説しました。その内容について、甲論乙駁、毀誉褒貶入り乱れて大変なことになっていますが、その演説の中にこんなくだりがあります。

「 実は、いまだから言えることがあります。  20年以上前、GATT農業分野交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました。  ところがこの20年、日本の農業は衰えました。農民の平均年齢は10歳上がり、いまや66歳を超えました。  日本の農業は、岐路にある。生き残るには、いま、変わらなければなりません。  私たちは、長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。」 (首相官邸ホームページより)

アベノミクスでは、岩盤規制の突破を言っています。それは、規制に守られた産業は一見安寧に見えても、その実は基礎体力が徐々に奪われ衰退するのだ、という考えに依ります。

例えば下図をご覧ください。

これは、総務省の家計消費調査から取ってきたデータで、2人以上の全世帯の米とパンに支出した金額を、年額の推移図にしたものです。

これをみると、米の消費額はリーマンショックのころにパンと逆転しています。2014年はそれが明快になり、2015年に入ってからの3ヶ月ではその差がかなり開いています。

これが、首相演説の前提となる冷厳な事実です。

自民党政権は過去ずっと農業保護の美名のもと、米の保護政策を続けてきました。また民主党政権下では「戸別補償」などといって、さらに強烈な支援策を行いました。その結果、日本の米は国際価格に対して極端に割高になっています。

「第三十三回 投資と国策。売りのサイン」のページです。デイリーニュースオンラインは、マネーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る