『ガッチャマンクラウズ』新時代のヒーロー論 (3/3ページ)

あにぶ

■ネットワーク社会に潜む闇

そして、あらすじにも述べた巨大SNS『GALAX』の存在がこの作品のキーを握ります。

GALAXという SNS は、AI(人工知能)に対して音声入力で情報を引き出すという素人でも扱えるインターフェースに持ち、画面はアメーバピグのようなアバターが仮想空間を歩いて世界中の人とコミュニケーションがとれます。
その利便性故に、世間的な信頼度は公的な機関さえ上回り様々な画面で活用されているというまさに夢のようなツール。しかしユーザーがSNSに依存しきっている世界なので、裏を返せば悪用されるともう手が付けられないところまで加速してしまいます。

それを突いてきたのが、謎の宇宙人『ベルク・カッツェ』。彼はGALAXを悪用して犯罪や混乱を引き起こします。SNSユーザーである不特定多数の群衆は情報に右往左往されてしまうのです。

『サマーウォーズ』のように、SNSや電子空間を使用して人々を脅威に陥れ、ユーザーが情報に踊らされるという構図は現代のネットワーク社会の善悪の線引が出来ない世界観やネットワーク社会そのものの虚弱性を象徴していてとても考えさせられます。

そしてGALAXユーザーを総称して『ギャラクター』と呼ばれていますが、ギャラクターはガッチャマンシリーズにおける敵の秘密結社の名前であり、GALAXのAI『総裁X』も敵のボスの名前なのです。
善良な市民であるはずのSNSユーザーが敵の秘密結社の名前で呼ばれるという、ネット社会は善にも悪にもなれる表裏一体のものだという皮肉めいたメッセージが読み取れる気がします。

いかがでしょうか、第二期である『ガッチャマンクラウズ インサイト』も色々な考察をしながら観ると一層楽しめるのではないでしょうか。

(あにぶ編集部/Uemt)

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