【歴史マニアの女医コラム】戦国時代最強の猛毒はテタヌストキシン! 現代は0.5gで人類が滅ぶボツリヌス (1/3ページ)

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【歴史マニアの女医コラム】戦国時代最強の猛毒はテタヌストキシン! 現代は0.5gで人類が滅ぶボツリヌス

「当連載は、歴史上の有名人や出来事などを現役の女医さん(医師免許確認済み)に分析していただき、史実を織り交ぜてリアルに診察していただくコーナーです」(編集部)

・『ボツリヌス毒素』が一番猛毒
こんにちは、代謝内科医の馬渕まりです。いったい毒の中で最強の物質は何なのか? 毒性から言いますと、これは0.5グラムで世界人類の致死量となる『ボツリヌス毒素』が一番です。ただし、精製技術が確立されたのは第2次世界大戦中なので戦国時代の実用は難しいでしょう。

そこで毒の一覧をざっと見て目に付いたのが『テタヌストキシン』。この毒の半致死量(半分の人が死ぬ濃度)は2ng/kgです(2ng=0.000002 mg)。

テタヌストキシンというのは破傷風菌が作る毒素です(テタヌス:Tetanusというのが破傷風のこと)。破傷風菌はそこらへんの土の中に普通に存在しており傷口から侵入し感染します。

・重症の場合は呼吸筋の麻痺
この破傷風菌の作る毒素が神経細胞に入ると、『運動を抑制する神経の働きを抑えたり、運動神経を興奮』させます。簡単に言いますと【ものすごい痙攣がおきたり、それに伴う麻痺がおこる病気】で、重症の場合は呼吸筋の麻痺をおこして死亡します。

現代日本では年間100人前後と患者数は少ないものの致死率は約50%と高く1950年のデータでは致死率85%という恐ろしい病気です。戦国時代だったらまず死にますね。

・矢じりに「ウンチ」を塗り付けて使用
調べてみると傷口を汚くすることで破傷風の感染率を高めることができるため、いくさの際に矢じりに「ウンチ」を塗り付けて使用していた話もありました。このあたりのことは漫画『ドリフターズ』にも登場します。

破傷風に限らず、汚れた傷口からはいろいろな感染をおこす恐れがあり、相手の戦力を低下させるには効率の良い手段だと思います。

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