【実録】処方薬転売に診療費支払い拒否も…病院が頭を抱えるモンスター患者の実態 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

性病治療中にまた風俗に行って再び罹患した男性

医師 この潰瘍はもうこれ以上、ひどくはならないでしょう。今日出すお薬でもう診察のほうは結構です。性器ヘルペスは5日間薬飲めばかなり治まるので。
患者 有難う! センセイ、助かったわ。

(数日後、同じ患者が診察を受けにやって来た)

患者 センセ、この潰瘍、治らんやないか? どういうこっちゃねん。誤診とちゃうんかい? ええっ?
医師 これ、あの後、遊びに(註:この場合は、「ソープランド」や「ファッションヘルス」でのサービスを受けることを指す)行かれたのでは? でなければもう治ってるはずなんですけどね。
患者 それ、センセ、あんた俺に言ったか? 言ってないよな? なら、遊びに行くわな。普通の男なら。つまりセンセが俺に、それを伝えなかった。それで俺は風俗に行った。で、またヘルペスもろうてきた。これはセンセ、ひいては病院の落ち度とちゃうんかい?
医師 常識で考えてわかるでしょう? 行っていい訳ないじゃないですか?
患者 なんやと偉そうに。(医師の白衣を掴んで凄む) 俺はな、何年もここ、この病院に通うとんや! ごちゃごちゃいわずに治せや! でも診察代、今日は払わんで。これはセンセ、アンタが俺に、「しばらく風俗行くな」ちゅう注意を怠ったから起きたことやで。絶対に払わんぞ。

(暴言を吐くなり医師の机を蹴る)

医師法がある限り治療を拒むことはできない

 こうしたモンスター・ペイシエントの扱いは病院によってその対応が異なる。都市部の“大人しい患者さん”が多い地域では、医師、看護師が手に負えないとなれば事務職員が対応、それでも難しければ弁護士を挟むという。

 だがこの看護師が勤めるこの病院にやって来る患者の“客層”は、世間の常識、モラルどころか法も通用しない地域だ。そうなると医師、看護師も“腕っ節”をみせて黙らせるしかないという。

「しつこく無茶な要求をする患者さんなら、『うるさいわ! ごちゃごちゃ言うとったらもう診察せえへんぞ!!』くらいカマさないとこの病院ではやっていけません。もうちょっと日本語と常識が通用する病院なら治療も捗るのですけどね」(前出の看護師)

 だが病院ではモンスター・ペイシエントでも治療を拒めない。

 診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない」(医師法第19条第1項)という法律があるからだ。これを根拠とし、医師は、正当な事由がない限りどんな患者でも診察・治療の求めを拒めないことになっている。

「医師法を根拠にモンスター・ペイシエントと呼ばれる患者が病院で傍若無人な振る舞いを続けるならば、この法令を見直さなければならない時期が来ているのかもしれない」(厚生労働省関係者)

 だが医師がモンスター・ペイシエントの治療を拒めるようになると、患者は医師、ひいては病院に萎縮し、モノが言えなくなるとの指摘もある。そのため医療ミスの類も表に出てこなくなるとの懸念がある。

 いずれにせよ悪いのは“モンスター・ペイシエント”だ。彼らを治療する特効薬は病院といえども扱っていないのが現状だ。

(取材・文/川村洋)

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