大ヒット中の映画『バクマン。』にオッサン視聴者が共感できないワケ (1/4ページ)

デイリーニュースオンライン

映画『バクマン。』公式サイトより
映画『バクマン。』公式サイトより

 映画の実写版『バクマン。』を見てきました。見たけど、うーん……。

 そもそも僕は原作の『バクマン。』が苦手なんですよね。若者たちが生き急いでいるように見えて見てて辛い。それでも映画版は「原作よりも共感しやすい」という話を周りから聞いたので見てみたんですが、うーん……やっぱり、うーん……。

 原作の『バクマン。』をまるきり否定する気はないんです。ただ、『バクマン。』は読者の年齢層で大分受け取り方が変わってくる作品だと思うんですね。原作者はおそらくジャンプの主要読者層である小中高校生に絞ってターゲッティングしています。「小中高校生の琴線に触れる作品」ではあるのだろうな……と、理解はできるけど、僕のような子供心を忘れた良い歳こいたおっさんが見ると、「あいたたたた」となってしまう。

サイコーくん、キミはいんぐりもんぐりしたいんやな?

 この作品は主人公の動機付けからして失敗していると思うんですよね。W主人公の片割れである真城最高(サイコー)はクラスの女子、亜豆美保が声優を目指していることを知り、「自分の漫画がアニメ化されたらヒロインを演じて欲しい。その時には結婚してくれ」という約束を取り付けます。それが主人公が漫画を描く一番根底の動機になっているわけです。他にも漫画家の叔父への想いとか、ライバルの新妻エイジへの対抗心とか色々あるんですけど、根底はやっぱりこれ。結婚するというのは、まあつまり、亜豆美保といんぐりもんぐりがしたいと、そういうことですね。

 それでこのサイコーくん、非常にムチャをする。高校に通いながら週刊連載してるだけでもハードすぎるスケジュールですが、血尿出してブッ倒れて入院しても、周囲の反対を振り切って漫画を描こうとする。「夢に向かって一直線!」とか「命懸けでガムシャラ!」みたいな熱い雰囲気を出したいのだとは思うのですが、でもねー、見てるおっさんとしては、「分かった! サイコーくん、きみはいんぐりもんぐりがしたいんやな? そうやな、いま必死に頑張ったら、クラスの憧れの女子といんぐりもんぐりできるんやもんな!」となってしまう。

 実際、恋愛って難しいですからねー。どんなに頑張ってもダメな時はダメ。でも、サイコーは自分が頑張って成果を出せば、恋愛成就していんぐりもんぐりできる。達成条件が明確に分かる。亜豆は自分を置いて先に行こうとしている。でも今ならまだ間に合うかもしれない! いま無理してバクチを打てば、きっといんぐりもんぐりできるんや! ワイはやるしかないんや!!(注)

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