【DMM亀山敬司講演@船井総研】第1回:「衰退業界での生き残りかたとは?」

デイリーニュースオンライン

【DMM亀山敬司講演@船井総研】第1回:「衰退業界での生き残りかたとは?」

 2015年9月、国内最大手のコンサルティング会社“船井総合研究所”の東京本社で印刷業界向けに、とあるセミナーが開催された。講師として招かれたのは、DMM.comグループ会長・亀山敬司氏。「異形の急成長企業DMMトップが語る経営者の仕事の仕方」と題した講座に登壇したのである。異業種の経営者を前に、氏が語った辛辣な提言とは?その模様を3回に分けてお届けする。今回は第1回「衰退業界での生き残りかたとは?」

今、アフリカは戦後のどさくさみたいな雰囲気がある

亀山会長(以下、亀) こんにちは、亀山です。今回おいでの皆さんは印刷業界の方々だそうで。よろしくお願いします。

司会 最初にちょっと雑談っぽい話を。会長は先月アフリカに行かれてたということで、なんでアフリカだったのかなと思いまして。

亀 まあ、昔から3〜4年に1回は旅に行こうということで、1ヶ月休みもらって「自分探し」でもしようかと思って(笑)探しても今更なにも見つからないんですけど、たまにはカネ儲け以外のことを考えてみようかなと思って行きました。でも行ってるうちに、アフリカは色々商売にできそうだなと思い出しまして。で、来月にDMM.アフリカを立ち上げようかなと思ってます。

司会 来月からですか?

亀 まだ何をやるか決めてないんだけど「行きたいヤツは手あげろって!」言ったら、20人以上あげたんで、半分くらい行かそうかなと思ってます。とりあえず1人100万ずつ渡して3ヶ月ほどさまよって、何かビジネス探してこいと。

司会 何をやってもいいと?

亀 まだ拠点の国も決まってないんでね。それぞれの社員に決めて貰おうかと。今、アフリカは戦後のどさくさみたいな、何やってもいいっていう雰囲気があるんで、別にITにこだわらずやっとけば面白いなと。とにかくアフリカ人と人間関係を作ってこいと。

とりあえずやってみて、金使って減っていくのが耐えられなくて勉強する

司会 ありがとうございます、雑談から結構深い話を。早速なんですが、今もっとも楽しいことってなんですか?

亀 楽しいことですか? 六本木にアワバーっていう安い立ち飲み屋があるんですけど、そこにはITベンチャーとかクリエーターとか、いろんな若い連中が集まってて、最近はそこで今時の流行りを教えてもらってるんです。彼らはアプリとかテクノロジーとかの情報が世間より半年は早いんです。だけどカネがないから、「じゃあオレが出すから手伝えよ」とか「うち来いよ」とか言いながら、一緒に新しいビジネスを作ってますね。若い奴をそそのかして、働かして、上前をはねる。今はそんな風にビジネスを立ち上げるのが楽しいかな(笑)

司会  最近の事業アイデアはご自身ではあまり?

亀 全然考えてないですね。50歳くらいまでは自分でいろいろ考えてやってましたけど最近はぜんぜん無理。みなさんも多分SNSとかスマホとかよく分からないでしょ? 歳をとると、いろいろ覚えるのが面倒臭くなるんです。

でも若いやつらに「これからの流行りはこれですよ」って言われて、よく分からないままおカネ入れるじゃないですか。で、やるとね、毎月おカネ減っていくんですよ、だんだんね(笑)。じゃあしょうがないから勉強しようって、スマホ持ち出して、色んなアプリを始めて、ちょっとずつ詳しくなるんです。

今もソーシャルゲームとかmake

AKIBAとかやってますけど、よく分かんないですよ。「艦これ」とか「IOT(モノのインターネット)」とか言われても。でもまあ、とりあえず投資してみて、カネ減って、それが耐えられなくて勉強するっていう。そういうモチベーションでやってます。

司会 事業の発想元がバーでの情報交換だったりっていうところが意外ですね。

亀 最近はそんな所で情報を集めてますけど、田舎にいた頃は情報といえばテレビくらいだっかな。僕の場合はせいぜいNHKスペシャルとかクローズアップ現代を見てたくらい。だから知るのがぜんぜん遅かったぶん、知ってからの行動を早くした。「ドイツで太陽光発電が増えてます」ってTVで言ってたら、すぐにその会社を調べたり訪ねてみたりする。そして、とりあえず小さくてもいいからやってみるという感じです。だからその分、やったはいいけど失敗した死骸も山ほどありますよ。

司会  仕掛けたうちの、だいたい何割くらいが成功してるんですか? 

亀 年に企画が1000個あったら100個くらい調べて、10個くらいやって、3個くらい当たるって感じ。で、その後10年続くのって言ったら1個ですかね。でもダメなものは半年くらい、長くても1年くらいでやめちゃいますから。それでいうと3割打者で十分って感じですかね。外れた7割の損害は半年や1年で終わるけど、1個でもホームランが出れば10年以上食わせてくれますからね。

儲けるよりは、儲ける構造を作り続けることが大事

司会  じゃあ会社経営していくにあたって最も大切にしてることってなんですか? 

亀 そうですね、続けることですかね。会社はいくら儲けるかってことよりは、どれだけ続けるかってことが大切かなと思ってて。今年100億儲かったけど翌年からずっとマイナスだっていうと、会社は続けられないんですよね。100億儲かったら100億を次の事業に突っ込んで、10年後もずっと10億ずっと入るような会社にしていく、儲ける構造を作り続けることの方が大事かなと思いますね。

成長してるほうが楽しいですからね。経営者のみなさんも右肩上がりのグラフ見てる方が楽しいでしょ? やっぱり下がってきたら気が重いじゃないですか。新しいことをやると社員も楽しくなる。そして安心する。何もやらずに衰退して「また誰か辞めた」ってなると会社の中が暗いじゃないですか。でも「新しいことまたやろうぜ!」「社員増やそうぜ!」となると、自分も社員も元気になりますよね。だからウチは稼いだら稼いだ分、次の事業にすぐ入れてしまう。それでキャッシュはいつも足りなかったですね。

司会 そういう話になったときに、よく業種の壁っていうのが出てくるかと思うんですけど。それこそDMMさんとか見てますと、自分は何業っていう捉え方をされてるんですか?

亀 「なんでも屋の商売人」ですかね。だからね、業種自体っていうのはどうでもいいかなって思っていて、そもそも長く続く業種なんてそうないですしね。ところでみなさんは印刷業一筋ですか?二代目の方が多いんですか?

司会 多いですね。

亀 多分、お父さんの頃は印刷屋さんがどんどん増えていたんでしょう。勤めていた人が独立したりして、市場が広がって会社も増えていた。そんな時代はあったかと思います。でも今は逆でしょう。チラシは減るし、簡単な印刷はPCで出来るし、インターネットで印刷の注文を取るITベンチャーも攻めてくる。地方の場合だと人口が減ってるという問題もあるでしょう。

毎年利益が5%落ちるのは、すごく怖いこと

亀 僕の友人にも印刷屋の社長がいるんですよ。やはり二代目で。この間「やっと借金返し終わったので、新しく機材を買おうかどうしようか?」と相談されました。見せてもらった業績では、今から借金抱えての投資はリスクが高すぎた。だから「身軽になって別の事業をやるか、勤めに出るかした方がいい」と答えました。

世の中には衰退産業っていうのがどうしてもある。自分がそこを変えるだけの力があればいいけど、ないんだったら流れに合わせるしかない。もうダメな業種はやめていく方向しかないと思います。

市場広がってる時ならどんどんやっていけばいいけど、縮んでるんなら、もう隣の会社が潰れるの待ってる状況ですよ。ウチは石川県で本屋もやってるけど、毎年売上は5%ほど落ちてます。ここなんかも近くの本屋さんが潰れたらちょっと売上伸びたりします。だから業界が縮んでても強い会社なら売上が上がるってことはあるんです。ビデオレンタル屋でいえばTSUTAYAさんやGEOさんなんかがそうかな?小さいところが先に潰れていくから、以外と業績は落ちないんです。残存者利益ってやつですね。でも最後に2社だけになるとそこからはやっぱり大変です。

僕も今日講演に呼んで頂いて、印刷屋の方々に何が提案できるか考えたんですよ。でもやっぱりこれから先、利益を上げるのはしんどいです。少々の事をやっても焼け石に水です。ではどうするかっていうとA社とB社をくっつけるしかない。くっつくって言ってもそれぞれ自営業でやってきたから、今更仲良くやれませんよね。だからもう売っちゃうんです。A社にB社を売っちゃう。それでA社は売上が倍に上がって、設備や家賃のコストを下げられる。船井総研さんに払うコンサル料も1社分で済むじゃないですか(笑)

船井さんに窓口になってもらってM&Aのコンサルをしてもらうんです。今日この会議が終わったら、みなさんが二手に分かれて「じゃあオレが売る。」「オレ買う。」みたいな話し合いをする。船井さんもコンサルティング料は減るけど、M&Aの手数料は入るじゃないですか。それで、やめたB社はその資金を元手に何かやる。そういったことがやれたら、一番いいんじゃないかなって。すげえ過激なこと言ってますけど、でも、そういう対策が一番前向きな気がします。

司会 印刷業は将来なくなると思いますか?

亀 出版社さんや問屋さんの方に業界の危機を訴えると、「この業界なくなりませんから」って言われることがあるんですけど、何が怖いかっていうと、業界がなくなることじゃなくて、毎年売上が5%落ちるってことがすごい怖いんです。売上が落ちても固定費は変わらないじゃないですか。だから売上が5%落ちると、結果として営業利益がなくなったりする。そういったことで5%落ちるっていうことがものすごく怖い。

市場規模が5%落ちて5%の店がなくなればいいんですよ。でもなくならないんですよ。5%落ちても、せいぜい1%くらいの会社しかやめない。なぜかというと、やっぱりみなさん「他の業種できないしな」とか「今更サラリーマンできないよな」とか、そんな風に考えるので、やっぱり市場の縮小以上に会社なくならないんですよ。で、結局みんな儲からなくなる。

もしこれを儲けようとしたら、5%減った時に、10%減らしちゃえばいいんですよ。ライバルが潰れるのを待つんじゃなくて、黒字の間に統合しちゃえばいい。でもみんなギリギリまで踏ん張って会社を守ろうとする。

そういう気持ちはわかりますよ。会社に対してはいろいろな思い入れがある。苦楽を共にしてきた愛着がある。ぼくも7年間やってたプールバーを店閉めざるを得ない時、従業員のみんなと飲んだ後、一人で泣きましたからね(笑)。ただ、その時に別の仕事やってそっちに移動できたから今も会社が続いてます。

必死になって会社が守れるならそれが一番いいんです。でもそれができない時は、何を守るかっていうことなんです。会社なのか?家族や社員の生活なのか?それを考えてみるのが大切なんじゃないでしょうか。

だから、今、会場の空気が、シーンとしてきて困っちゃってますけど、これが、僕の、皆さんへの提案です(第二回へ続く)。

【DMM亀山敬司講演@船井総研】第2回:「自分たちの資金と組織で、業界の一番を取れるビジネスを」

【DMM亀山敬司講演@船井総研】第3回:「社員を大事にするなら、20年後先も食えるようにしてあげなきゃいけない」

プロフィール

DMMグループ会長

亀山敬司

DMMグループ会長 亀山敬司
石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT業界の大物まで登り詰めた成り上がり実業家。現在はFX、英会話、ゲーム、太陽光発電、3Dプリンタ、VRシアターと多岐にわたる事業を展開している。

「【DMM亀山敬司講演@船井総研】第1回:「衰退業界での生き残りかたとは?」」のページです。デイリーニュースオンラインは、亀山敬司DMMビジネス社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
LINE
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧