【DMM亀山敬司講演@船井総研】第3回:「社員を大事にするなら、20年後先も食えるようにしてあげなきゃいけない」

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【DMM亀山敬司講演@船井総研】第3回:「社員を大事にするなら、20年後先も食えるようにしてあげなきゃいけない」

 2015年9月、国内最大手のコンサルティング会社“船井総合研究所”の東京本社で印刷業界向けに、とあるセミナーが開催された。講師として招かれたのは、DMM.comグループ会長・亀山敬司氏。「異形の急成長企業DMMトップが語る経営者の仕事の仕方」と題した講座に登壇したのである。異業種の経営者を前に、氏が語った辛辣な提言とは?その模様を3回に分けてお届けする。今回は第3回「社員を大事にするなら、20年後先も食えるようにしてあげなきゃいけない」

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太陽光だろうが、3Dプリンタであろうが、先駆者がいない方がやりやすい

司会 せっかくの機会ですので「なにかご質問したいな」という人いらっしゃいましたら。

質問者 人、モノ、カネってありますけど、亀山会長にとってどれを一番重要視されていますでしょうか?

亀 それでいうと、月並みですけど人ですね。人とカネは業種を選ばないってだけですよ。みなさんは印刷一本で来たんだから、仕事は印刷だけだと思ってるかもしれないけど、やれる営業マンはなんでも売りますよ。だってウチで太陽光やってる連中は、もともとクーポン事業で飲食店営業をやってたんです。でも競合に負けて撤退になったので、今は太陽光発電を全国に作っている。で、優秀だったやつは、クーポンやっても優秀だし、太陽光売ってもやっぱり優秀です。業種の違いっていうのは、大抵1年あれば越えられますよ。

業種転換の時みんなが思うのが、せっかく培ったノウハウや営業ルートが勿体無いっていうこと。もちろんそのノウハウがお金になればいいんですよ。でもそうはならないんだったら、売れそうなものを社員に持たせて営業行かせたほうが未来がある。重要なのは人だけど、その人の使い方を経営者が誤っちゃいけないってことです。

ウチがなんで新しいことやってるかっていうと、太陽光発電や3Dプリンタみたいに、先駆者がいない方がやりやすいんですよ。みんな知識ないから、ヨーイドンのスタートになる。早めに行けば、次に教えてあげる立場になるんですね。「ソーラーパネル卸すよ」とか「3Dプリンタなら俺に聞け」とか、そんな風にビジネスできます。

つまり経営者がやるべきなのは、どの業種に行くか?どういう戦略で行くのか?という大きな決断だけで、あとはもう現場がどう動くかって話になる。だからその向かうべき方向を誤らないのが経営者の責任なんだと思います。「人を大事にしてます」っていうんなら、社員たちが、10年後も20年後先も食えるように考えなきゃいけない。はっきり言って、人の寿命より会社の寿命のほうがぜんぜん短いですから。

例えば皆さんが自分の子供に「このナントカ印刷を守って育ててくれよ」って言えますか?言えないなら社員にも言えないって話ですよ。なら、やっぱりその社員たちの生きる場を用意しないといけないし、新しい知識を身につけさせないといけない。多分社員は自分たちよりも年下じゃないですか。俺たちよりも長く生きるんで、生きる術を身につけさせないと。それが会社の責任じゃないかと思いますね。

実の子供に考えることと同じことを社員に考えればいい。そうすれば、おのずと答えが出るんじゃないですかね? その時にね、代々引き継がれた会社がそんなに大事かって話になるんです。暖簾なんでただの布だし、会社はただの箱ですよ。所詮は人の集まりです。ちょっと生意気でしたね。すみません。

経営者は、社員がどうやったら勝手に動き出すか、を考えるべき

質問者 儲ける構造を考えるということを言われてましたが、そのコツといいますか、何に気をつけておられるかを教えていただけると。

亀 儲ける構造は、さっき言ったようにとにかく自分達が戦えるスキマを探す事です。でも、日本でスキマを探すのはすごい大変なんですよ。コンビニはいっぱいあるし、インフラも整ってる。デパートもゼネコンも金融もあるし、既得権益もいっぱいで入れるところがない。その中でITはまだ20年くらいの業界だから既得権益が少ない、創業者しかいない。だからスキマを見つけ易いんです。

そんなITでさえも、日本じゃなかなか見つけるのは大変です。だから次はアフリカかなと思ったんです。DMMアフリカを立ち上げて、なんでもいいから会社やっとけば、その後に新しい技術を持っていくチャンスができる。10年後になったら日本も大変かもしれないし、その頃になったらアフリカに食わせてもらおうかなと。それで今のうちから種を植えようかなって感じなんです。だから皆さんがどうしても印刷業をやりたかったら、僕と一緒にアフリカに行きましょう。ノウハウと機械持って向こうに渡って。そっちのほうが一旗あげられると思いますよ。

さっきも言ったように、経営者はどこに投資するかが一番重要で、そこだけ間違わなければ、社員は実力以上の仕事をします。業界が膨らめばモチベーションが上がるし、その後に続く。一番大きい問題は、社員がどうやったら勝手に仕事をやりだすかってことです。勝手にやりだすには勝手にやりやすい場所だけ用意してあげればいいので。

僕は技術者でもクリエーターでもないので、効率のいい場所だけを用意してきた。そこで働くスタッフたちは、他の会社よりも1割、2割多く給料取れるようになりますよ。そしたら、同じ仕事量なら俺もあっちの会社行こうって言って、いい人材も集まってきますよ。あとはその中で細かいことは言わず自由に暴れさせてやる。

成長している、ということを楽しむのが一番の目標

司会 最後に亀山さんの今後の夢や目標などあったらお聞かせ願いたいんですが。

亀 夢ですか?別に今みたいにやってることで十分叶ってますんで、売上何兆を目指すとかいう目標もないですし。どうせあと20年ほどで死んじゃうかボケちゃうんで、それまでの間、こんな風に言いたいこと言って、やりたいことやれたらいいなと思いますけどね。カネ持ったり会社が大きくなった方が、やれることは増えるけど、仕事の達成感ってやつは露店時代にモノが1個売れたときも、今みたいにその何倍かのお金を動かすときもあんまり変わんないんです。だから、その時その時で「ヤッター!よくなった!」みたいな、自分が成長してるということを楽しむのが一番だと思うんです。例えば毎年腹が出てくよりも、腹筋がライザップになったほうが嬉しいじゃないですか。

まあそんな風にアレコレ仕事しながら、死ぬ時にまわりに家族と何人か仲の良いやつがいてくれたらいいかなあ? そんなとこです、夢なんて。ささやかな幸せを求めてます。なんか俺が言うとぜんぜん説得力ないかもしれないけど、でも求めてるのはそういうところです。

司会 ありがとうございます(了)

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プロフィール

DMMグループ会長

亀山敬司

DMMグループ会長 亀山敬司
石川県のレンタルビデオ店からアダルト、IT業界の大物まで登り詰めた成り上がり実業家。現在はFX、英会話、ゲーム、太陽光発電、3Dプリンタ、VRシアターと多岐にわたる事業を展開している。

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