大阪ドヤ街に活気…西成・ガールズバーが急増するワケ (2/3ページ)

デイリーニュースオンライン

 夕方5時過ぎ。西成でも、もっとも中国系の店が集中しているといわれる“ディープエリア”今池本通り商店街と萩之茶屋本通り商店街をそぞろ歩く。車イスに乗りながらカップ酒をあおり、「憧れのハワイ航路」を気持ちよさそうに歌うオッサンが通りかかるなど、閑散としつつも、随所に西成らしさは残っている。自転車に乗った警察官の数がやたら多いのもこの街らしい。

 たしかに、前出の商店主が言っていたように、暖簾の中央部だけを上にまくりあげている店がやけに目につき、その隙間からは通りを窺う女性の目がキラリと光る。目が合うと、すかさず「お兄さん、どうぞ」と声をかけられる。中国人女性だ。しかし、他の繁華街に見られるようなキャッチの姿は皆無である。

 路上で酒を飲んでいた労働者風の男性は言う。

「以前は路上にたむろして、客にしつこくまとわりつく中国女のキャッチもけっこういたんやけど、このへんの客は荒いやろ。それに西成署もうるさいし、ヤクザも強い。中国人といえども、この街のルール守らんと、やっていけへん。そんなこんなで、いつの間にかキャッチの姿は目立たなくなったわ」

 また、目が合った。「お兄さん、いらっしゃい!」の連続攻撃。そのうちの一軒に飛び込んでみた。萩之茶屋本通り沿いにある「居酒屋 芯ちゃん」である。

生活保護受給者が上客

「お兄さん、はじめてやね。このへんの人やないやろ?」

 こなれた関西弁を話す、いかにも素人っぽい真面目そうな女性は、この店のママ、芯ちゃん。福建省出身の26歳だという。他にアルバイトの中国人留学生が2人働いていた。ママはいう。

「うちは4年目になるわ。家賃は10万円いかないくらい。最初に保証金が200万円。ミナミとか梅田なら、この何倍もかかるからお得や。暖簾? こうしとくとお客さんが通りかかったら、すぐにわかるやろ。日本人の店はやってないけど、逆に不思議やわ」

 客はどこから来るのか?

「8割が地元・西成のお客さんや」

 ここで労働者風のがっちりした初老の男性客が口をはさむ。

「俺は現在69や。いまも現場でバリバリ働いているが、客で多いのは、最近は福祉の客や。要は生活保護の受給者。奴らは毎月サラリーマンみたいに決まったカネが入ってくるから、いいお客さんなんや。ここいらじゃ、福祉の客を大事にせんとやっていけへんやろ」

 ぼったくりはないのか? ママが答える。

「以前はけっこうあったけど、そういう店はすぐに消えてしまう。こういう街だから、常連のお客さん大事にしないと続かへんわ」

 たしかに、一歩足を踏み入れてみると、意外なほど健全だ。この手の店に特有の“ヤバさ”は皆無である。

 値段も相当安い。数年前までは一般的なガールズバーのように1時間3000円~4000円のセット料金の店も多かったらしいが、現在は、チャージもかからず、ビール一杯飲むだけでもOKという店が大半だという。生ビールが500円、サワー類は400円、つまみは板わさ、漬物など簡単なものが中心で500円程度、カラオケは一曲100円が相場だ。つまり、ワンコインで、若い中国人女性を相手に、1時間でも2時間でも飲むことができるのだ。

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