大事な回復のバロメーター? 病院で「おならセンサー」が使われているってほんと? (2/2ページ)
ブッと出れば健康のきざし、27代総理大臣・浜口雄幸(おきち)氏が腸の手術で入院したときも、新聞で「ガス一発のよろこび」と回復が報じられたぐらいですから、手術後のおならは、むかしからだいじな存在なのです。
■おならかどうかは「水素」が決め手
ところが、本人も気づかないうちに「すかして」しまうことも多く、自己申告に基づいていると判断が遅れることもしばしば。そこでおならを検知する装置が開発され、病院でも使われるようになったのです。
この装置は、
・おしり近辺にチューブと固定、本体のポンプでおならを吸い込む
・おならかどうかは「水素」で判定
窒素は空気にも多く含まれる、メタンはひとによって含まれない、二酸化炭素は吐く息で増減するため不正確、その結果、水素をもとに判断する仕組みになったのです。
肝心の判定精度は、
・自己申告 … 約50回
・センサーが検知 … 約140回
と機械の圧勝。眠っていてももちろんOK、わずかなおならも見逃さず、3倍近くも記録されたのです。
メタンの印象が強いおならを、水素で判定する点がたいへんユニークですね。もし論文や研究で行き詰まったら、定説やイメージにとらわれず、自由に発想すると良いかもしれません。
■まとめ
・腸の手術後、おならは回復のバロメーターになる
・おならのにおいはおもにインドールやスカトール。メタンは無臭なので関係ない
・成人のおよそ2/3は、メタンを作る腸内細菌を持っていない
・水素を検知し、おならを記録する装置が開発された
・本人の自覚の約3倍と、わずかなおならも見逃さない高性能
(関口 寿/ガリレオワークス)