中国、伊勢志摩サミットを「時代遅れの金持ちクラブ」と皮肉る|やまもといちろうコラム (1/2ページ)
山本一郎(やまもといちろう)です。時代遅れで古風な名前の男です。
ところで、中国が参加していないサミットをDISって憂さを晴らすという外交的には定番のほのぼのニュースを提供しており、ほっこりしました。
中国国営の新華社通信が出した論説ですので、日本における大本営発表よりもはるかに政治的な意味合いの強いメッセージが発射されたといっても過言ではないんですけれども、心の中で思ってて別に言わんでも良いことを対外的に言ってしまうのは何か別の思惑でもあるのかと感じてしまうんですよね。
平たい話が、中国自身もサミットに入って自国の権益の主張も含めた、利害調整の枠組みに入れるべきだという話なんでしょう。ただ、過去にオブザーバー参加があった程度、財務相会議や安全保障関連の対話の座組みに入ることはあっても「時代遅れの金持ちクラブ」には、中国が入れない事情は別にあるのではないかなと思うわけであります。
おりしも、ブルームバーグが中国でのAAA級という、もっとも信頼のおけるはずの債券をキャッシュフローで確認してみたところ、57%がジャンク級の投資不適格債券であったという結構衝撃的な報道を行ったばかりです。もはや、中国経済は充分に大きくなり、それに対する中国政府の自信が深まる一方で、公共投資や海外へのインフラ事業への傾注からバランスシートの「質」重視に転換する必要があるという、日本のバブル経済がきた道を中国経済が10倍の規模で辿っているとするならば、この時事通信が懸念した「中国経済の減衰」も肌身で危機感を覚える次第であります。