リオ直前!あの「五輪ヒロイン」が語る灼熱の激闘秘話!(3)「柔道・山口香<ソウル>」 (1/2ページ)
日本のお家芸ではあるが、五輪の女子柔道の歴史は意外に浅い。昭和最後の開催だった88年のソウルが初採用で、先陣を切ったのが山口香(51)だった。
──初回のみ公開競技ながら、ソウルで女子柔道が五輪の歴史に加わりました。
山口 その代わり‥‥というわけではないけど、男子の「無差別級」がなくなったの。
──駆け引きですねえ、日本の伝統種目を1つ失ったとは。それでも、女子柔道が始まったことは、現在までのメダルラッシュを思えば正解です。
山口 女子の競技数って、今でこそ男子と差はないけど、どれも歴史は浅いの。ロスでマラソンとシンクロ、ソウルで柔道、アトランタでサッカー、アテネでレスリングが始まった形ね。
──スポーツの世界は“男尊女卑”が長かったんですね。さて「女姿三四郎」と呼ばれ、世界選手権を初めて女子で制したのが山口選手。84年のウィーンで、52キロ級で快挙を達成。
山口 私は小さい頃から男子を相手に練習してきたからね。そういえば「女三四郎」という言葉も、私以降はいないと思わない?
──確かに谷亮子の出現以降は「第2のYAWARAちゃん」という表現が多いかもしれません。
山口 だったら私が独占しちゃおう(笑)。
──あっ、アテネと北京で63キロ級の金メダルに輝いた谷本歩実も「女三四郎」でした。
山口 谷本か、ああいう華のある選手がなかなか出てこないのも寂しいね。
──さて記念すべきソウルですが、女子は5人の選手が出場しました。
山口 佐々木光の金メダルを筆頭に、女子は5人全員がメダルを獲ったのよ。ただ、この大会では男子が不調で、特に中量級までが、期待された選手がことごとくコケて‥‥。最後に斉藤仁さんが95キロ超級でようやく金メダルだったけど、それでもムードは“お通夜”みたいだったわね。