病魔と闘う荒ぶる役者たちの不屈秘話 「第1回・松方弘樹」(1)松方弘樹という役者の特異性 (1/2ページ)

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病魔と闘う荒ぶる役者たちの不屈秘話 「第1回・松方弘樹」(1)松方弘樹という役者の特異性

 〈不良性感度〉で銀幕を暴れまくり、俺たちをシビれさせた荒ぶる役者たち──松方弘樹、梅宮辰夫、渡瀬恒彦と、いずれ劣らぬクセ者たちが今、重大な危機に直面している。およそ半世紀にわたって縁の深い3人にエールを送る形で、その闘病と苛烈な役者稼業を克明に描く。

 5つ違いの実弟であり、同じ役者の道を歩んだ目黒祐樹が言う。

「詳しい情報が入ってこないので、むしろこちらが教えていただきたいくらい。今は1日も早い回復を祈るだけです」

 その兄・松方弘樹(74)が体調不良を訴えたのは2月上旬のこと。これまで病気とは無縁の半生だったが、検査で10万人に1人という珍しい発症率の「脳リンパ腫」が判明する。

 松方の病室は今も面会謝絶で、手術が困難な部位であることから、抗ガン剤や放射線による治療を続けているという。

「面会謝絶というのは、オヤジなりの美学。リハビリに励んでいるようですが、自分が弱っている姿を見られたくないんでしょう」

 松方の“一番弟子”として70年から約10年間、松方邸に住み込みで付き人を務めた俳優・勝野賢三が言う。松方にとって70年代とは、長い役者人生で波乱あり、出世ありの濃密な10年間であったのだ。

「オヤジは役作りに真剣に取り組んでいた。額にシワが欲しくて、鉛筆で描き込んだりもしていた。それが花開いたのが『仁義なき戦い』(73年、東映)やったと思います」

 勝野が言うように、日本映画に革命を起こした「仁義なき戦い」は、松方にとっても分岐点となった。時代劇の大スターだった父・近衛十四郎が一線を退き、夫人との離婚問題も間もなく表面化する日々のこと。

 筆者が松方に話を聞いた11年、当時の偽りのない心境を明かした。

「映画の本数だけは多いんだけど、これという代表作がない。目黒家の長男として、ここでフンドシを締め直さないと流されてしまうと思った」

 菅原文太を筆頭に、松方や梅宮辰夫ら「これまでくすぶっていた中堅どころ」が一斉に跳ねた。とりわけ、松方が演じた坂井鉄也は、シリーズ屈指の名セリフとともに高く評価された。

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