韓国の人権政治家は北朝鮮の「国民虐待」を見逃していたのか (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

韓国の人権政治家は北朝鮮の「国民虐待」を見逃していたのか

北朝鮮の人権問題に絡み、韓国政界である疑惑が持ち上がっている。2007年の国連での人権決議案の採択に際し、当時の盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が北朝鮮に意見を求めた後に棄権したのではないか、との声が出ているのだ。

北朝鮮の国家的な人権侵害については、日米やEU、そして韓国の現朴槿恵政権も追及を強めている。また、北朝鮮の金正恩党委員長は、人権問題の厳しい追及を受け、国際社会の表舞台に立てなくなったことへの絶望から、核兵器開発とミサイル発射の暴走を続けていると見ることもできる。

「同胞を見殺し」

いまや、北朝鮮の人権侵害追及は民主主義を標榜する国々の間では主要な国際問題のひとつになっており、韓国がそれに背を向けていたとすれば、由々しき問題と言える。

きっかけは、宋旻淳(ソン・ミンスン)元外交通商相が今月出版した回顧録だ。

回顧録によると、2007年11月18日に盧大統領が主宰した会議において、北朝鮮人権決議案への賛成を求める宋氏と棄権を主張する出席者らの間で激しい論争となったという。それを受け、金万福(キム・マンボク)国家情報院長が北朝鮮に直接意見を求めることを提案し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領秘書室長がこれを支持。

2日後の20日、青瓦台(大統領府)の安保室長から北朝鮮側が「北南関係の発展に危うい事態を招くため、採決に責任のある姿勢を取ることを期待する」との見解を示したとの報告を受けたとしている。

これが事実かどうか、韓国でも結論はまだ出ていない。宋氏はあくまで「すべて事実である」との立場だが、金氏は「先に棄権を決めて、北に通知した」との主張である。

また、南北間の公式の対話ルートには板門店連絡事務所と黄海・東海(日本海)の軍通信線があったが、これらを使って上記のやり取りが行われた記録はない模様だ。ただ、非公式対話のための直通電話が情報機関の国家情報院にあったとされ、これが使われていたなら、真偽を客観的に確認するのは難しい。

しかしいずれにせよ、2007年の決議で韓国が棄権したのは事実だ。そして、まさにその時にも、政治犯収容所では10万人以上とも言われる人々が虐待に苦しんでいた。

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