会社規則でキス強要?中国人漫画家が語る中国の”仰天セクハラ事情” (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

 実は僕自身も職場でセクハラ行為を受けたことがあります。大学卒業後、僕はイラストレーターとして出版社に就職し、ライトノベルの表紙絵を担当しました。配属された編集部の社員は9割方が女性で、しかも女性向けライトノベルを担当しているという性質から、いわゆる「腐女子」が多かったのです。

 ある日、僕が社内食堂で席を探していると、当時30代の女性上司二人に呼び止められ向かいに座ることを強要されました。僕が彼女たちの前で食事をしていると、上司の一人(Aさん)が「今日のオカズはまずいから、かわりに若い男の子を見てよだれの成分を分泌するわ!」と話し、もう一人(Bさん)が「孫くんをオカズにして! ひどい! ぶほほほ!」と嘲笑しました。二人はボーイズラブ小説を担当している編集者で(当時の中国では活字による性表現は比較的規制が緩かった)、僕は彼女たちから卑猥なセクハラ発言を浴びせられるという事実に、激しい不快感を抱きました。

 また、職場には僕の他に「黄」という男性社員がいたのですが、ある日Aさんと「Cさん」という編集部員が「このシーンはこういう展開でしょう!」、「違う! もっともっと激しい欲情的な展開!」などと小説の男性の同性愛描写について議論を行っていました。彼女たちは僕と黄を呼びとめ、「二人は机の上で愛し合いなさい!」、「鑑賞すれば私たちは仕事が進められるわ!」などと発言しました。二人は冗談のつもりだったのかもしれませんが、このような破廉恥な発言は日常茶飯事でした。

 エロ規制大国といわれる中国ですが、職場内のセクハラは野放しの状態で、多くの人々の尊厳が傷つけられています。しかも2016年末から国内の失業率が大幅に上昇することが予想されており、中国の会社員たちは仕事のために泣く泣く上司のセクハラに耐えています。

 その一方、雇用者たちは独裁者のようにふるまい公然とセクハラを行うのです。僕は中国が民主化し、職場内セクハラに関する具体的な法律を制定する日が来ることを望みます。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の33歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。新刊書籍『中国が絶対に日本に勝てない理由』(扶桑社)が発売中。

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