アサヒ芸能「スクープ大事件史」Vol.7(7)梅川昭美が君臨した3日間の地獄絵図 (1/2ページ)

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アサヒ芸能「スクープ大事件史」Vol.7(7)梅川昭美が君臨した3日間の地獄絵図

 79年1月26日の午後、大阪市の三菱銀行北畠支店に猟銃をもった男が押し入ったのが“悪夢”の発端だった。犯人は梅川昭美(うめかわあきよし)。ナイトクラブの従業員で、かさんだ借金の返済が犯行の動機だった。

 銀行に押し入った梅川はカウンターにいた行員に袋を突き出し「これに金を入れろ」というと、銃を数発天井に向けて威嚇発射した。客や行員の悲鳴が飛び交うなか、ひとりの行員が110番すると、すかさず射殺(第1の死者)。当初は金を奪ったら逃走するつもりだったが、銀行から逃げ出した客が警官に事件を告げたため、その警官が店内に急行した。拳銃を構え、「銃を捨てろ」といって威嚇射撃をすると、梅川は即座にその警官を射殺している(第2の死者)。さらに、警官ふたりが駆けつけてくると、彼らに向かっても発砲。ひとりは防弾チョッキのために難を逃れたが、もうひとりの巡査は死亡した(第3の死者)。

 その後、銀行が包囲されたため、梅川は行員や客を人質にとって籠城を決め込んだ。しかも人質たちが逃げられないよう、男女とも裸になることを命じたのである。そして、支店長を見つけ出すと、「こうなったのはおまえのせいや」といって射殺している(第4の死者)。

 落ち着いている年輩の行員に目をつけると「なまいきや」といって、また発砲。反射的に身をかわしたため、致命傷を逃れた行員は死んだふりをしていると、梅川は別の行員にナイフを渡し、「とどめを刺せ」と命じている。その行員が機転をきかせ、「死んでます」と答えると、「だったら、耳を切り落とせ」と命じる。行員は小声で「スミマセン」といいながら耳の上半分を切り落としている。

 こんな立て籠もりが26日から28日まで、3日間も続いた。

 その間に、梅川の身元が判明、母親と叔父が説得にやってきたり、人質行員を使って借金の返済に行かせたり(もちろん、必ず戻ることを命じている)というひと幕もあった。

 一方、警察のほうも地下の金庫室に侵入し、ATMの陰から中の様子を見られるようにしている。そうして態勢を整えた後、特殊部隊SATのメンバー7人が機会をうかがい、28日の午前9時前、突入すると、梅川の頭から胸を狙って銃撃。梅川はその後搬送された病院で死亡した。

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