「頭が高すぎる集金人」嫌われJASRACの一生|やまもといちろうコラム (1/2ページ)

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 山本一郎(やまもといちろう)です。しばらく家族がダウンしていて雑用が津波のように押し寄せておりますが、私の原発は元気です。

 ところで、先日YAMAHA音楽学院や河合楽器などスクールにJASRAC管理楽曲を使っているかどうかで著作権料を払うの払わないので盛大に揉めている事案が勃発し、耳目を集めていました。もともと10年以上JASRACは両社に対して支払いを求めてきたものの支払いを拒否されているところで、いきなり問題を表に出されて訴訟沙汰前夜というのは穏やかな話ではありません。

 そこへ、JASRACの理事で東京大学の教授にして知財法マスターである玉井克哉せんせが敢然と登板、湧いて出るクソリプをバタバタと切り伏せながらJASRACの請求に関する正当性を高らかに論じ上げるという勇名を馳せておられました。

※JASRACの外部理事を務める東大・玉井克哉教授(知的財産法)による大手音楽教室から著作権料徴収についてのQ&A - Togetterまとめ

https://togetter.com/li/1077579

 一方、JASRACにこんなクソな対応をされたという告発がTwitter上に溢れ、これはこれで読むものの目頭を熱くさせる何かがあります。確かに「JASRAC管理楽曲を使わないコンサートをやるのにJASRACから『使わない証明を書面で出せ』と言われた」とか「150名以下しか客を呼ばない零細イベントにはJASRAC登録がなされても利用料の支払いは無し」など、いわゆる普通のサービス業とは隔絶した中世の徴税人みたいな世界が広がっていて、これはこれで涙を誘います。

 しまいには宇多田ヒカル(34)まで出てきて「教育目的なら私の曲は自由に使って」と大見得を切るツイートをしたのですが、「そもそもお前の楽曲はJASRAC管理じゃないだろ」というツッコミも業界から多数で、いかに著作権をめぐる事情が複雑怪奇かということを改めて教えてくれるように思います。

 この問題はまあそのぐらい法的にむつかしく、ややこしいことこの上ないのですが、いわゆるカラオケ法理と呼ばれる微妙な判例も含めて、そもそも音楽教室で指導する音楽は「公衆に対する演奏」とされ演奏権の範疇となるかは論点となります。

 基本的な解説については、ヤフーニュース個人でこの問題に詳しい栗原潔さんが説明したものがコンセンサスの取れているものなので、ご参照いただければと存じます。

※JASRAC vs 音楽教室:法廷で争った場合の論点を考える - Y!ニュース

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20170206-00067411/

※JASRACが音楽教室からも著作権使用料を徴収しようとする法的根拠は何か? - Y!ニュース

http://bylines.news.yahoo.co.jp/kuriharakiyoshi/20170202-00067263/

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