核戦争よりも深刻?迫り来る”バイオテロ”の現実味|やまもといちろうコラム (1/2ページ)

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 山本一郎(やまもといちろう)です。時折放つ強烈に臭い屁が家族からバイオテロであると大変不評なのですが、冗談ではない事態として現在フランス・パリで行われているCEPI科学諮問委員会でも優先的なワクチン開発の方法について議論されているところです。

 これに絡んで、先般2017年1月17日にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(The World Economic Forum)で、元マイクロソフトのビル・ゲイツさん(61)が警告メッセージを発しています。いままでは「核兵器による抑止力」が世界の軍事バランスを決定づけていたものが、相対的にバイオテロ兵器や作戦がそれ以上の破壊力を持つ可能性があるとなると、あまり与太話にはできないインパクトを持ちます。

Bill Gates: Bioterrorism could kill more than nuclear war — but no one is ready to deal with it

 これらのテロリズムの重要な問題点は、対策を打つ有効な方法がないうえに、非対称的、つまり誰が攻撃したのか良く分からないような偽装も可能だという点、さらにはバイオテロの犠牲者の拡大(感染拡大、つまりはアウトブレイク)という長期的な影響もあり得るという話にまで行き着いている点は見逃せません。

 ある意味で、初期のバイオハザード(Resident Evil)で企業コングロマリットである「アンブレラ社」が仕掛けていた陰謀といえば、ピンと来る人も多いでしょう。その大きな違いは、人がゾンビになるのではなく、潜伏期間を経て多くの人に感染させた後は患者がすぐ亡くなってしまうということですが。

 もともと安全保障の世界ではバイオテロは「貧者の核兵器」という概念で呼ばれていましたが、昔は生物兵器は炭疽菌など限られた核種の、致死率が高すぎて感染拡大はそう多くは望めない(それでもうまく使えば何千人と死にかねない)という代物でありました。ところが、一昨年あたりから危険性が再評価され、ビル・ゲイツさんも言うような具体的な脅威になり得るまで培養技術が改善されていくとなると、文字通り千万単位の人間が感染し、百万人を超える犠牲者を伴う事態も視野に入ってきます。

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