「ADHDは天才肌が多い」は本当か 専門医に聞いてみた (1/3ページ)
・待ち合わせや締め切りが守れない。
・部屋を片付けられない。
・集中力が持続しない
などなど、その症状から「社会人失格」のレッテルを貼られがちな「ADHD(注意欠如・多動性障害)」。こうした症状が原因となって会社で何度も怒られたり、あるいは周囲とトラブルになったりして困っている人は少なくありません。
しかし、これらの症状は対処可能なものです。
1980年代からADHDの研究をつづけ、多くの著作をもつ医学博士の司馬理英子さんによると、ADHDは「障がい」ではなく「脳のクセ」。そのクセを知ることでうまく付き合っていけるとしています。
ADHDとはどんなもので、どんな対処が可能なのか。司馬さんにお話をうかがいました。
■「ADHDは天才肌が多い」は本当か ――まず「ADHD」という言葉なのですが、ここ数年で急速に広まった印象がありますね。司馬:ADHDはもともと子どもの領域でよく知られていました。大人にもADHDの傾向がある人がいるということが知られてきたのは、この10年ほどの間だと思います。
――よく耳にする言葉だけに、正確に理解することなくわかった気になってしまいやすいのもADHDの特徴です。あらためて、ADHDとはどのようなものなのか教えていただきたいです。司馬:ADHDの傾向がある人の特徴は大きく分けて3つあります。
一つは、集中力の持続が困難で、不注意やケアレスミス、忘れ物や落し物が多かったり、やらなければいけないことを忘れてしまったりします。
二つ目は「多動性」といって、動きが多くて、落ち着きがないこと。子どもの場合はいつもはしゃいでいる感じなのですが、大人は細かい動きが多くなる傾向があります。
もう一つは「衝動性」といって、考えずに物事に反応してしまうという点が挙げられます。たとえば、欲しいと思ったら反射的に買ってしまったりというようなことですね。
普通は、欲しいものがあっても、「待てよ、今は我慢しようかな」というように抑制が働くのですが、その抑制が効きにくいのが特徴です。思ったらそのまま行動してしまう。