吉田豪インタビュー企画:ウーマンラッシュアワー村本大輔「ベッキーの時も少し多めに殴ってない?と感じていた」(1) (2/4ページ)
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■芸能界やお笑い界のタブーが気持ち悪い
──そっちの世界に興味を持つきっかけになったって意味で、堀潤さんとの出会いは大きかったみたいですね。
村本 大きかったですね。興味ないものっていうか、知らなかったものを知ると、知りたくなるんですよ。政治だけじゃなくて、政治もひっくるめた世の中の空気みたいな、政治のことを言った人が話を逸らしたり、そういうところに興味があるんですね。それとか、いろんな人のたとえを出されるわけですよ。(水道橋)博士とか(田村)淳さんとか。それを言われたときに、1個「ん?」というのがあって。
──どういうことですか?
村本 僕はコメンテーターっていうのは正直ちょっとスッキリしない部分が常にあるんですよね。そのタイミングで茂木健一郎さんが「日本のお笑いは終わってる、海外のスタンダップコメディは……」みたいな話をされて、それからスタンダップコメディずっと観るようになったんですよ。
──茂木さんが「トランプやバノンは無茶苦茶だが、SNLを始めとするレイトショーでコメディアンたちが徹底抗戦し、視聴者数もうなぎのぼりの様子に胸が熱くなる」「一方、日本のお笑い芸人たちは、上下関係や空気を読んだ笑いに終始し、権力者に批評の目を向けた笑いは皆無。後者が支配する地上波テレビはオワコン」とかつぶやいて炎上してましたけど、向こうのスタンダップコメディアンは政治的な皮肉とかを言うのが当たり前なんですよね。
村本 そうです。そこからNetflixでいっぱい観てるんですよ。
──すごい学習してますよね。そういう知識が全然なかったはずなのに、いまはスタンダップコメディの話をふつうにするようになってて。
村本 僕、ひとりでしゃべる『ウーマンラッシュアワー村本の大演説』っていうライブをやってて、でも海外は1人で6万人ぐらい集めたりするんですよ。僕は淳さんとか博士みたいにはなろうとしてもなれないですけど、僕がこのモヤモヤを解消できるのはネタかな、と。海外の強い権力が政治だとしたら、日本ってお笑い界、芸能界みたいなところがあって。何かちょっと言おうとしただけで、「いや、それヤバいんじゃない?」とか「これちょっと怒られるんじゃない?」とか言われて。
──自分にとってタブーはそっちだって実感がある。
村本 そんな感じがするんですよ。何を怖がってんの? と思って、すごい気持ち悪い感じがして。視聴者がそれを言い出してるから気持ち悪いなと思うんですよ。「あの先輩の話はやめたほうがいいんじゃない?」とか「大丈夫?」とか。そこは映画とか観る感覚で楽しんでくれたらいいのに、怖い存在みたいに言われるのが気持ち悪くて。だから、スタンダップコメディやりたいですね。
──すっかり刺激を受けたわけですね。
村本 刺激を受けて。日本でもアメリカのスタンダップコメディみたいな状況になるのは、もっともっと独裁政権みたいになって、みんな政治に文句言い出してるぐらいのときだと思うんですけど、いまはそうじゃないので。まだ早いっていうのはありますけど、海外とか興味ありますね。
──人のアドバイスとか一切聞き入れなさそうに見えて、聞くときはちゃんと聞きますよね。
村本 聞くんですけど、ちゃんと成分表示を見て、さんざん確認してから、「よし、口に入れよう」みたいな感じで。
──最初に疑ってかかって、そこからも相当確認する。
村本 そうです。これを食えるんだったら腹を壊してもいいっていうものだけ口に入れる。疑い気質ですね。
──水道橋博士に読書を勧められたときの頑なさはすごすぎましたからね(笑)。
村本 博士のあれも、なんていうんですかね……完全に読書をしないわけじゃないんですよ。チョコチョコだから、まあ読んでないレベルなので、読んでるとは言いたくないっていう変なこだわりもあって。あと、言い方。博士に「君は絵の描いてある本しか読めないのかい?」って言われたときに、じゃあ逆にこっちの理論を確立させたろうって(笑)。