今期ドラマ”原作モノ”に異変?負け組『櫻子』と好調『あなそれ』の明暗 (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■実写化ドラマは役者の好演と作り手のセンスがカギに?

 一方、今期の実写化ドラマでじわじわと人気を見せているのが、『あなたのことはそれほど』(TBS系)だ。本作では、主人公を演じる波瑠(25)が2番目に好きだった男性と結婚するものの、10代の頃から想いを寄せてきた同級生と再会したことにより、不倫に溺れていくという作品だ。

「序盤は不倫におぼれる主人公を演じる波瑠が、これまでのイメージとは大きく異なったせいか、視聴者からも賛否両論の声がありました。しかし、展開の突き抜けぶりに、視聴者は目が離せなくなったのでしょう。これと同様に、2番目に好きだった夫役の東出昌大(29)の怪演も人気を呼んでいます。今後も視聴率は上がると予測されています」(前出・芸能記者)

 視聴率も9%を前後していたが、第6回目の放送では最高視聴率である11.5%(ビデオリサーチ調べ・関東地区)を記録している。

「原作ファンは必ず見るだろうと胡座をかいた安直な実写化は、大爆死を招くという認識がいまだに制作陣の間では薄いのかもしれません。原作ありきだからこそ、原作が描いている世界と脚色のバランスが非常に大切になってくる。もちろん、波瑠や東出の演技力がうまく化学反応したというのもあるが、同時に制約がありながらも上手く表現した、制作陣のセンスも光った結果だと思います」(前出・記者)

 実写化ドラマは今後も制作され続けていくことだろう。しかし、やり方によっては“諸刃の剣”なのも事実だ。原作ファン達から“ドラマは黒歴史”と揶揄されないよう、ツボを突いた丁寧なドラマ制作が求められるということだ。

文・海保真一(かいほ・しんいち)
※1967年秋田県生まれ。大学卒業後、週刊誌記者を経てフリーライターに。週刊誌で執筆し、芸能界のタブーから子供貧困など社会問題にも取り組む。主な著書に『格差社会の真実』(宙出版)ほか多数。
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