プロレス解体新書 ROUND65 〈破壊なくして創造なし!〉 熱狂のZERO-ONE旗揚げ戦 (2/3ページ)

週刊実話

結局、交流が早々に打ち切られたために、実現はしませんでしたが…」(同)

 ただ、ZERO-ONEがまったくの橋本個人の団体だったかというと、疑問も残る。
 そこには古巣の新日や、橋本が生涯の師と尊崇するアントニオ猪木の影が見え隠れしていたからだ。

 もともとZERO-ONEは新日内の組織として準備されたもので、これを後押ししたのは、当時、社長の任にあった藤波辰爾だった。
 「ただ現場監督の長州力に相談がないまま進められたため、これには強い反発もあった。また、橋本も“俺が社長になるんだから”と勝手にノアとの話を進めたり、無闇やたらと経費を使うことなどもあって、ついには後見役だったはずの藤波にも見放され、橋本が新日を解雇される形での独立となりました」(スポーツ紙記者)

 しかし、話はそこで終わらない。敵の敵は味方というわけではないが、藤波から見捨てられた橋本に、長州ら現場主流派が接近を図ることになるのだ。
 「例えば、旗揚げ当初からフロント業務を一手に引き受けて、のちに社長にもなった中村祥之氏は、長州のリキプロのアルバイトから新日に入社した人物です。また、新日からZERO-ONE入りした大谷晋二郎や高岩竜一も、特に橋本との関係が深かったわけではなく、この移籍には新日現場の意向が働いたものと思われます。海外修行からヘビー転向し、直前にはIWGP王座にも挑戦していた大谷が、特に揉めることなくすんなり移籍したのだから、何か裏があったと見る方が自然でしょう」(同)

 さらに、旗揚げ戦で橋本のタッグパートナーに名乗りを上げた永田は、新日内のレスリング経験者によるユニットG-EGGSを立ち上げるなど売り出しの真っ最中であり、本当に長州らが橋本を敵視していたなら、この参戦もあり得ない。
 「だからといって完全に新日のヒモ付きということではなく、“いつか儲けのタネにするためにツバをつけておこう”ぐらいの感覚だったと思われます。猪木が手駒の小川と藤田(和之)を派遣したのも、やはり同じ理由からでしょう」(同)

 そんな多方面からの思惑が入り乱れる中で、メインイベントが行われた。

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