天才テリー伊藤対談「水野雄仁」(3)長嶋さんは本当にスケールが違う! (1/2ページ)
テリー 逆に、巨人時代につらかったことは?
水野 現役を引退した翌年から3年間、長嶋(茂雄)監督の時代にピッチングコーチをやらせていただいたんですが、その頃は苦しかったですね。
テリー それはまた、どうしてですか?
水野 やはり自分の指導が至らないというんでしょうか、投手陣が打たれるのを見るのが、とにかくつらかったですね。自分で投げて打たれるほうが、よっぽど気が楽でした。
テリー そういう時、水野さんは選手にどういう言葉をかけるんですか?
水野 毎日が葛藤ですね。怒っても選手は困るだけですし、打たれたくて出した結果でないことは、こちらも理解していますから。
テリー そうですよね。
水野 だから、僕は打たれた時は怒りませんでした。怒ったのは、フォアボールの時だけ。
テリー 四球を出すということは、やっぱり自分の気持ちが相手に負けてるっていうことだから?
水野 そういうことです。「打たれたら、自分が全て責任を取る」、そういう気持ちで送り出していましたから。
テリー でも、負けがかさむと、さすがに水野さんのところだけでは抑えられませんよね。そういう時は、監督とどういう話をするんですか?
水野 僕は長嶋監督の最後の3年間だったんですが、当時のボールがまたよく飛ぶものだったので、今より点数が入ったんです。ある日、長嶋監督から「水野、今日うちは何点取ればいい?」と聞かれたので「10点、お願いします」と答えたんですが、その日は10対13で負けて(苦笑)。
テリー アハハハハハ、ひどいじゃないですか。約束どおり10点取ったのに。