秋津壽男“どっち?”の健康学「視力の衰えが認知症など老化を加速。暗所やタブレットでの読書は要注意」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「視力の衰えが認知症など老化を加速。暗所やタブレットでの読書は要注意」

 秋は読書の季節とも言われます。夜中の平均気温は20度ほどで、集中して読書ができる時期です。

 では、ここで問題です。

「暗いところで本を読むと目に悪い」と言われますが、これは本当でしょうか、単なる俗信でしょうか。

 数年前まで、この説を俗信とする人もいました。「部屋の暗さが視力を低下させる根拠がない」ためです。近年の研究によれば、やはり暗い場所での読書は目によくないことがわかっています。私たち人間の目は、目に入る光を瞳孔で調節しています。光が多く明るい場所では瞳孔が閉じ、光が少ない暗い場所では瞳孔は大きく開き、光を多く取り込もうとします。瞳孔が閉じている時の直径は2ミリですが、最大で8ミリまで開くこともあります。

 この瞳孔は、開く時間が長いほど目は疲れるようにできています。瞳孔が開いている時は体を活性化する交感神経が働いており、体が休まらないのです。明るい場所=瞳孔が閉じた状態での読書は、目の筋肉も楽にピントを合わせますが、暗い場所では瞳孔が開き、ピントを合わせるのに力を必要とします。研究では、暗い部屋に一日中いるだけで、瞳孔が通常より長時間開くため視力は悪くなりやすいと結論づけています。

 暗い場所で近くのものを凝視するほど瞳孔の開閉も頻繁になり、目が酷使されます。さらに、テレビやパソコンなど明るい光を発するものを暗い部屋で見ることも、部屋の明るさと目に飛び込む明るさに大きな差が生じるため、目をたいへん疲れさせる行為です。

 とはいえ、明るい場所ならどこでもいいというわけでもありません。

 例えば、直射日光での読書は、明るすぎるため、白内障のリスクにつながります。これは極端な例としても、日中に自然光の下で読書をするのと、枕元のライトを照らして本を読むのとでは、前者のほうが目に優しく、後者は視力低下につながります。

 今の時代、タブレットで読書をする人が増えていますが、暗い部屋での「タブレット読書」も、視力を低下させます。加えて、本は字を動かさずに目を動かしますが、タブレットの場合にはスクロールで目を動かさずに文字を動かします。そのため、同じ姿勢を保ち続けることで肩凝りになります。

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