水道法や入管法の影に隠れた『改正漁業法』の思惑にギョギョ… (1/2ページ)

週刊実話

水道法や入管法の影に隠れた『改正漁業法』の思惑にギョギョ…

 「改正水道法」や「改正入管法」の陰に隠れて目立たないが、水産業の斜陽化に歯止めをかける「改正漁業法」も今国会で成立した。安倍総理が「70年ぶりの抜本改革」と力を込めており、企業の技術や資本力を生かして漁業を「成長産業」へ転じるのが同法改正の狙いだ。

 1961年には約70万人だった漁業就業者数も15万人まで減少するなど、日本の水産業の衰退は止まらない。漁業者に占める65歳以上の割合は、1983年の10%から35%に上昇している。ちなみに全国の沿岸で、養殖や漁船漁業などを営む個人経営体の漁労所得平均は約338万円(16年)だ。

 16年の漁業・養殖業生産量はピーク時の3割以下に落ち込んでいるが、衰退の最大の要因は、漁業資源の管理を怠ったことにある。

 そこで漁業法を改正し、企業を参入させようというのが政府の狙いだ。改正の骨子は、①船ごとに漁獲量を割り当てる資源管理の導入、②養殖・定置網の2つの漁業権の「地元優先」枠をなくす。②については、外部の企業が漁協に入らずに養殖を営むには原則、地元漁協などが名乗りをあげないことが条件となっており、権利を得て養殖に乗り出しても、免許更新時に地元漁協が申請すれば権利を失う。

 改正案はこれをやめ、「地域の水産業の発展に最も寄与すると認められる者」に新たな漁業権を与えるとしている。判断するのは都道府県知事だ。利権が派生するニオいがプンプンする。そして水産庁にも天下り利権ありだ。

 昨年12月に閣議決定された今年度の水産予算1772億円のうち、資源管理・調査への予算は46億円で予算全体の3%である一方、約40%の700億円が漁港整備などの一般公共予算に充当されている。こうした内訳を見る限り、肝心要の資源管理は冷遇され、漁港整備に重きが置かれていることが分かる。漁獲量も漁業従事者も減少する中、なぜこれだけの額が漁港整備に費やされているのか。

 「各地で進められる豪華な建物や施設などの漁港整備事業については、それらの費用対効果が水産庁の下で調査・研究されています。そして、今年3月末に水産庁は計86の水産関係公共事業の事前ないし事後評価結果を公開していますが、当然のことながらいずれも効果が費用を上回ると示されています。

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