極限で問われる武士の真価!テロに屈せず人質も見殺しにしない源頼信が示した「兵ノ威」とは(下) (2/5ページ)

Japaaan

「く、来るな!こ、こいつがどうなってもいいのか!」

すっかり泣き疲れていたであろう息子も、また怖くなって大声で泣きわめきますが、そんな事で動じる頼信ではありません。

頼信は盗人に訊ねます。

「そなた、その童を人質にとったのは、そなたが助かりたいためか。それとも単に、その童を殺したいためか……申せ」

【原文】「汝(なむぢ)ハ、其ノ童ヲ質ニ取タルハ、我ガ命ヲ生カムト思フ故カ、亦(また)、只童ヲ殺サムト思フカ。慥(確か)ニ其ノ思フ所ヲ申セ、彼奴」

静かに、しかし有無を言わさぬ威厳をもって発せられた頼信の問いかけに、すっかり萎縮しながら盗人は答えます。

「別にこんなガキ、殺したい訳ないじゃないですか。ただ私は死にたくない、生き延びたいと思うから、一縷の望みを賭けて人質をとっただけです」

【原文】「何(いか)デカ児ヲ殺シ奉ラムトハ思給ヘム。只命ノ惜ク候ヘバ、生カムトコソ思ヒ候ヘバ、若(もし)ヤトテ取奉タルナリ」

そりゃそうだろうな……という事で、頼信は盗人に「解決策」を提示します。

菊池容斎『前賢故実』より、源頼信の鋭い眼光。

「よし……それなら、悪いようにはせんから刀を捨てよ。この頼信が『捨てよ』と言うからには……解って居ろうな……この頼信を信じて、刀を捨てよ

【原文】「ヲイ、然ルニテハ其ノ刀ヲ投ゲヨ。頼信ガ此許(かばかり)仰セ懸ケムニハ、否投(えなげ)デハ不有(あらじ)。

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