天才テリー伊藤対談「ガレッジセール・ゴリ(照屋年之)」(3)あのシーンは奥田さんの案 (1/2ページ)
テリー 脚本やセリフ、演出方法に関して、演者から何か言われたことは?
ゴリ 忘れもしないファーストカット撮影の時です。奥田さんがブランコに座っているシーンで、リハーサル後「まだ“奥田瑛二”が残っているので、それを捨ててもらっていいですか」とお願いしたんですよ。演じてもらった信綱という役は、妻を失った喪失感でどうしようもなくなった情けない男なのに、まだ奥田さんのカッコよさ、男の色気が残っていたので。そしたら、「お前、誰に向かって言ってるんだ」と、にらまれて。
テリー うわっ、それはヒヤリとするね。
ゴリ 僕も一瞬、焦ったんですけれど、そこで奥田さんが「冗談、冗談」と笑い始めて。「監督がこの映画のことをいちばんわかっているんだよ。だから、俺は監督の指示に全部従う」と言ってくれたんです。
テリー なんだよ、さっきまではエロ親父扱いだったのに、えらくカッコいい感じじゃない。
ゴリ はい(笑)。酔っ払った奥田さんはエロ話もすごかったですけれど、その合間に「キミはこの脚本をイチから書いて、何度も読んで、書き直して、この世界を創造して現場にやって来たんだよね。だったら、俺よりキミのほうが100%正しい。自分を信じなさい」と。それ以後は、「どういうふうに演じればいいのか」みたいな質問はされますけれど、内容や演出に何か言われたことは一切なかったです。
テリー うれしいよね。それは、奥田さんも監督経験があるからなんだろうな。
ゴリ かもしれないです。他のスタッフ・キャストもみんな本当に僕を信頼してくれて、それは感謝しかないですね。
テリー 奥田さんの役は徹底的に情けない男で、前貼りこそなかったけど、最初のシーンでチ○チンの見えそうなパンツをはいていたのが、いい味出してた。