サイコパスの脳を調べていたところ、自分がサイコパスであることを発見した神経科学者(アメリカ) (3/4ページ)
うまく日常生活を送っている者もいる。ファロンは当時、あまり気にしなかった。
サイコパスの遺伝子というものはない。だが、サイコパスにつながる特性、サイコパスを駆り立てる特性はある。
わたしはそういったすべての遺伝子要素を持っていた。でも、わたしはそれを一蹴する。自分が何者かわかっているから
30年ほどたった2010年になって初めて、研究者たちに、あなたはサイコパスの瀬戸際にいるのではないかと言われ、ファロンは真剣に考えるようになった。
そこで彼は正式な検査を行うことにした。精神医学と心理学の分析結果は、やはりその兆候があることを示していた。
つまり「本格的なサイコパスのあらゆる衝動、思想、誘惑を備えた予備軍がここにいる」ということだ。
・絶対的なサイコパスと社会的なサイコパス
しかし、彼はいわゆる絶対的なサイコパスと言われるものではなく、社会的なサイコパスなのだという。
だからといって、その人物がいい人間だという意味ではない。サイコパスには、自分のことを、いい人、好ましい人だと人に思わせるように仕向けるスキルがあり、人からカリスマ性があると信じられ、好かれる傾向にある
絶対的サイコパスは、反社会的で暴力的な傾向があるが、そのサイコパス性向はおくびにも出さない。そして、社会の中でまともに機能することができない。
しかし、ファロンの場合、前向きで肯定的な環境で育ち、いい家族(とくに母親)の影響を受けたことで、まともに成長することができたという。
確かにわたしは、サイコパス的要素のある脳をもっているが、母の存在が他人に危害を加える危険人物にならなくて済んだ理由となった。
悪いしつけを受けていたら、サイコパスの危険な3つの要素を育んでしまったことだろう。